テレビはあまり見ない人だが、サスペンスドラマだけは必死に探して、全て録画している。
週一回、夜中から朝方にかけてまとめて鑑賞、孤独のうちにイラついたり怒ったり、泣いたりしながらテレビの前で時間を過ごす。随分と、気色悪い習慣を、もう永い間続けてきた。
だから当然「警察」大好きで、警察とお仕事したことはないが、いつもテレビでお世話になっている。
容疑者の逮捕や交通死亡事故の撲滅などを目指し、日々、努力している警察だが、都道府県の警察本部によって、その“実力”には大きな差があるようだ。
7月30日号の「週刊ダイヤモンド」誌は、その特集で、大変興味あるランキングを発表した。
全国47都道府県警察の実力ランキングである。 (http://diamond.jp/articles/-/97705)
それによると、「警察力」を(1)刑法犯の検挙率、(2)交通事故件数に占める死亡者数、(3)10年前と比較した検挙率の改善度、(4)都道府県民1万人当たりの警察官の人数、そして(5)都道府県民1人当たりの警察費という、五つの指標で分析、それぞれを相対評価して点数化し順位をつけた。
結果、警察力ベストテンを羅列すると、第1位・東京警視庁、以下、長崎、山口、福岡、京都府、徳島、大阪府、宮崎、佐賀、そして第10位に熊本県警と続く。
堂々のトップは首都・東京を管轄する警視庁だ。検挙率はワースト6位の低さながら、警察官の人数や警察費の多さは群を抜いており、他の道府県警を寄せ付けなかった。2位は長崎県警で検挙率の改善度が全国トップ、検挙率の高さと相まって好位置に付けた形だ。
一方、ワースト1位となったのは岩手県警。検挙率はそこそこながら、事故死亡者数の多さや警察官の人数が少ないことなどが響き最下位に沈んだ。大都市を抱える都道府県の中で、ワースト7位と下位になったのが埼玉県警だ。増加する人口に対応した警察費を確保できず、警察官も増やせなかったことが要因とみられる。内容の詳細は是非「週刊ダイヤモンド」誌をご覧いただきたい。
さて、「サスペンス・オタク度」をご指南する。
よく検挙率が話題になるが、ちなみに『検挙』というのは被疑者を特定して取り調べを行うこと。
検挙に際して強制的に身柄拘束を行うと『逮捕』となる。まずは、検挙と逮捕の違いである。
警察で扱うのは「被疑者」、捜査機関から犯罪の疑いをかけられ捜査の対象となっているが、まだ起訴されていない者のことをいい、裁判において有罪を宣告されるまで、「犯罪者」として扱われることはない。ちなみに、テレビのニュースや、サスペンスドラマで「容疑者」という表現がよく出てくる。
「○○容疑者は」…というフレーズは、いわゆるマスコミ用語、正式な法律用語は「被疑者」である。
被疑者が検察官により起訴されると「被告人」になる。被告人の場合も,被疑者と同じく「無実の推定」が適用されるので,裁判において有罪を宣告されるまで犯罪者として扱われることはない。
「96%」…日本における「殺人事件の検挙率」だ。ちなみに、諸外国での殺人事件検挙率は、アメリカで62%、中国で77%、イタリアで69%などであり、日本の検挙率の高さがわかる。
しかし犯罪は殺人だけでない。傷害罪、暴行罪、強姦罪、住居侵入罪、詐欺罪、恐喝罪、横領罪等々色々あり、3割を超えていた全体の検挙率は最近では29.8%と、わずかながら3割を下回った。
総合では、約7割の被疑者を逃していることとなる。
全国の警察官定員は多少増員され、約29万人、予算3.7兆円という巨大官庁となった警察組織。
ますます凶悪、知的複雑化する犯罪に、いかに立ち向かうか、頗る興味があるところである。
2016年8月7日
カテゴリー:飯島賢二のコラム