この時期になるとテレビで、「3月15日、確定申告…」なんて、普通のニュース枠の中で流れてくる。
確定申告とは、正確に言えば、「個人の申告所得税」の申告・納税期限である。
今が旬! 真っ最中のこの時期、暇な税理士はいない。
税務署は人であふれ、「無料納税相談会」と称し、街の至る所で、やたらイソイソと、騒がしい。
今や、毎年の風物詩になっている。
平成27年度の当初予算でみると、所得税収は16兆4,420億円で、歳入に占める割合は17.1%であり、消費税の17.8%と並ぶ大きな税源となっている。
確定申告の内容ややり方等は、国税庁のホームページが良くできているのでお勧めである。
もちろん別の機会で、当職にお聞きいただければと思っている。
(国税庁・確定申告 https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kakutei.htm)
(飯島経営グループ・ホームページ http://www.ik-g.jp/)
所得税は1798年にイギリスで創設されたのが始まりのようだ。
日本では明治20年(1887)に導入されているが、これは世界でも早い方だった。
当時は、免税点が高く最高税率も3%と低いもので、納税者の数も12万人足らずにすぎず、その税収の国税全体に占める割合も2%にもみたなかったという。
大正8年には国税の20%を超えるまでになり、その後、大正15年の税制改正で、所得税が直接税の中枢に据えられ、更に昭和15年の税制改革では、現在の給与所得に相当する「勤労所得」について、源泉徴収制度が導入されるなどの改正が行われた。
そして、第二次世界大戦後の昭和22年に、それまでの賦課課税制度を申告納税制度に改められ、給与所得に係わる年末調整制度もこの際に導入された。
日本の税制が体制化するシャウプ勧告を受けた、昭和25年の税制改正より前に、所得税はほぼ、今の制度が出来上がっていたと言って良いかも知れない。
今実施されているのは、昨年1年間、平成27年分の申告である。
平成26年分所得税及び復興特別所得税の状況は、確定申告書を提出した人員2,139万1千人で、平成23年分からほぼ横ばいで推移した。確定申告書を提出した人員のうち、申告納税額のあるもの(納税人員)は612万人。ということは、残り1,248万7千人は還付申告で、平成25年分から8万4千人増加した。事業所得者の納税人員は162万6千人(前年比2万1千人増加)、土地等の譲渡所得の申告人員は48万1千人で、前年より微減。株式等の譲渡所得申告人員は93万7千人で、前年より16万1千人減少という状況だった。
我国の税制は、ほとんど全ての国税について、申告納税制度が採用されているが、所得税だけは、その大部分が申告によるものではなく、源泉徴収によるものである。
就労人口の大部分を占める給与所得者の大半が確定申告をせず、年末調整により所得税を確定しており、自ら申告書を作成し、自ら税務署へ提出する必要はないとされている。
決められた控除以外いわば100%課税される源泉徴収と、自己申告により課税される個人事業者との間に「不公平感がある」といわれているのも、所得課税、永年のテーマである。
2016年3月6日
カテゴリー:飯島賢二のコラム