ビールの税金は、日本酒(清酒)と比べると、5.5倍も高い。
日本のビールの税金はドイツの19倍、米国の9倍程度高いということ、ご存知だろうか?
今、平成29年度税制改正で、麦芽比率などで異なるビール類の酒税を、350ミリリットル缶あたり約55円に一本化することが大きな話題となっている。
現在、ビールの税額は350ミリリットル缶で77円、麦芽比率25%未満の発泡酒が47円、麦芽を使わないものもある第3のビールが28円。一本化を目指すのは類似商品の税額格差が企業の技術革新などをゆがめているとみているためで、約55円なら全体の税収規模は現状と変わらない。
税額が統一されれば、ビールは値下げになる一方、発泡酒や第3のビールは値上げになる。
安くなったビールを飲む消費者が増える可能性があるが、家計に配慮し発泡酒などを飲んでいる消費者の負担は増す。マスコミがこぞって「庶民いじめ」と反発をしてくること、明らかである。
安くなった美味いビールを、今までより少し多く飲むか、高くなった発泡酒、第3のビールを嘆くかは、あなた次第ということになろう。
確かに現状では、日本のビール税の高さが突出してることが分かる。
世界の国々のビールの1リットルあたりの税金を日本円に換算してみると、日本が220円なのに対して、税金の高いイギリスやスウェーデンでさえも約90円、デンマークは約50円、オーストリア、オランダ、ベルギーなどは約20円、イタリア、フランス、ギリシャ、ポルトガルなどは約15円、ドイツ、アメリカ、スペインなどは約10円と、全く次元が違っている。
日本のビールは、これに消費税が加わり、販売価格の4割以上は税金ということになる。
日本の他のお酒の酒税と比較しても、ビールだけが異常に高いことが分かる。
1リットルあたり、日本酒が120円、ワインが80円、アルコール分が21度未満の焼酎が200円、アルコール分が37度未満のウイスキーやブランデーが370円で、焼酎とウイスキー、ブランデーはアルコール分が1度上がるごとに10円ずつ上がっていく。
ビールの1リットルあたり220円という税金を、他のお酒で同負担すると、どのくらい飲むことになるだろうか、そんなシミュレーションをしてみよう。
ビール1リットルというのは、500mlの缶なら2本、中瓶でも2本だから、それなりに飲む人ならすぐに飲み干してしまう量で、恐らく「ほろ酔いレベル」だろう。これで税金を220円を払うことになる。
同じだけの税金を日本酒で払おうと思ったら、一升瓶を空けなきゃならない。
さらに、ワインなら3リットル近く、フルボトルで4本も飲まなきゃ、ビールと同じ税金負担にならない。
こりゃもう、ほろ酔いどころか、ヘベレケレベルである。正にビールは高級品だったことが分る。
麻生太郎財務大臣の衆議院予算委員会(平成27年3月10日)の発言がヤバイ。
「一番騒ぎになるのはビールなんですが、理由は簡単で、一番税金の比率が高い。だから、ビールを外税で売ったら、まず誰も買うやつはおらぬだろうなと思うぐらい。あれは内税だからみんな騙されて飲んでいるんだよ。外税だったら、何だ、こんなに税金かよと思ったら、飲まぬよ、あんなものと思うぐらい高い」。・・・騙されて飲んでる・・・と言い放った現職財務大臣もすご過ぎる。
だからビールの税率を下げるのだ…という論法、みなさんは納得できますか?
2016年9月18日
カテゴリー:飯島賢二のコラム