第658回 三無主義タイプにつける薬

いつも世も、どこの事業所にも、問題社員は存在する。

最近特に多いのが「無関心」、「無感動」、「無関係」を標榜する三無主義と言われる若者たちだ。何に付けても「しらけ」ており、会社の親睦交流行事はあえて参加せず、しかし決して休まず、遅刻もせず、ただ何となく出勤して来る。

「別に…」「特に…」「そう言われても…」が枕詞で、「私には関係ないから」が口癖になっている。いったい何のために働いているのか、何に興味があるのか、皆目分らない。

我々が若い頃夢中で追い求め、奮い立たせた「パトス(pathos)」とか、「パッション(passion)」とか、およそ無縁の言葉の如き新種の生き物のようで、問題社員と言うよりは、人類的に違う生物にしか、見えてこない。

 

このようなタイプが、どうして発生するのか、その原因はどこにあるのだろうか?

その一つが、「危機感の欠如」にあると思っている。

平和の時代が長く続き、自分が何かしなくても何とかなるし、別に「誰かがやってくれるからいいジャン」という思考で、何ら不便なく生活ができた。

極端な危機感の欠如による「平和ボケ」と言う事に他ならない。

更に、その傾向に輪をかけたのが「情報過多」。

情報技術が著しく進化した現在、溢れるほどの情報は、自分から求めなくても無制限に与えられる。だから何につけても、「待ちの姿勢」になりがちである。その結果、自分を問題の渦中に絶対置かず、一歩下がって世の中批判的に見てしまう。

その深層心理は、自分がいても何も変わらない、自分は特別役に立っていない、自分の存在は必要ない…そんな思考に慣れきってしまったのかもしれない。

 

しからばミッション⇒「三無主義タイプを変えるには、どうしたら良いだろうか?」

本人の考え方の問題だから、絶対的改善策はありえないだろう。

でも恐らく、今より、何もやらないよりベターな方法はあるに違いない。

その一つは、「叱るより褒める事」だと思っている。もっと言えば、「ホメ殺し」だ。

この種のタイプはいくら叱っても「柳に風」、怒るエネルギーだけが虚しく消費されるだけである。怒るより褒めること、「あなたは素晴らしい」、「あなたが必要なのだ」という素直な気持ちを伝えることだと思う。従って、長期的な課題の有る仕事を与えるより、短期的に、すぐ結果の出る、非定型仕事を与えるべきかもしれない。

小さな仕事の成功を褒め、自信と感動を覚えさせる事が効果的な処方箋になるに違いないと思っている。そして、仕事とは、他者との関係で成立する事を意識させる事、多くの人がいて成り立つビジネスが、…「自分には関係ない」はずがない…事を教えることである。

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2015年12月6日IKG(~飯島経営グループ)
カテゴリー:飯島賢二のコラム


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