第664回 「信用」と「信頼」

経営者は社員を、信頼しても、信用するな」、

無条件に社員を信じ切るのではなく、経営者としての目をきちんと持ち、常に冷静な判断することを忘れてはいけないという教訓なのだろうか、経営者セミナーの必須『格言』の一つになっている。

「信用」と「信頼」、よく耳にし、また我々自身安易、かつ頻繁に口に出す言葉だ。

でも本当の意味をきちんと把握し、正確に使い分けてしゃべっていただろうか?

こりゃ、いかん…ということで、今回は「信用」と「信頼」、その違いについて、こだわってみた。

 

彼を信頼すると言い、彼を信用するとも言う。でも、彼の言葉を信用するとは言うが、彼の言葉を信頼するとは言わない。「信用取引」という言葉はあるけど、「信頼取引」という言葉はない。

また、「信頼関係」という言葉はあるけど、「信用関係」という言葉はありえない。

これは明らかに、両者の意味が異なっていることの証拠だ。

早速ネットで色々調べてみた。

 

まずは「信用」。「信用」するためには、実績や成果物が必要となるとのこと。

何らかの実績や成果物を作って、その出来栄えに対しての評価が「信用」のもと。

その優れた実績や成果物といった、過去の業績に対して「信用」するということになる。

その人の過去の行為(事実)や、作り上げてきた作品といった物理的なモノに対して、

「これは大丈夫だ」と信用するわけだから、

「信用」は、モノを、評価する人から、そのモノを作った人に対する片方向になる。

英語で言うと“信用=believe”となる。

 

一方「信頼」は、そうした過去の実績や業績、あるいはその人の動静を見たうえで、

「この人なら、この仕事を任せても、しっかり仕上げてくれるだろう」とか、

「この人なら、私の秘密を打ち明けても、大丈夫だろう」などと、

その人の未来の行動を期待する行為や感情のことを対象とする。

もちろん、「信頼」するためには何らかの根拠が必要だが、

その根拠を見たうえで、未来を「信じる」ということになる。

そう考えると、「信頼」してもらうためには、まず「信用」が必要、前提条件となる。

「信用」なしには「信頼」を勝ち取るのは難しい。

「信頼」は、その人の実績や過去の振る舞いを見たうえで、その人の人間性や習慣、クセ、感覚といった目に見えないものに対して期待し、その期待に応えてくれるだろうという気持ちの表れである。

気持ちに気持ちで応えるのが「信頼」であり、

「信頼」は気持ちと気持ちのつながりだから、双方向となる。

英語で言えば“信頼=trust”である。

 

昔、当時の「鳩○首相」が、東京で「オバマ米大統領」と会談した際、いきなり「トラスト・ミー」(私を信じて)と発言したことがあった。実績に裏付けられた「信用」がない人の、突然の発言に、呆れるやら情けないやら、正に国辱的ピエロ、believeとtrustの意味すら理解しない滑稽事件であった。

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2016年1月17日IKG(~飯島経営グループ)
カテゴリー:飯島賢二のコラム


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