訪日外国人旅行者が、昨年はじめて1,000万人を超え、インバウンド政策が実りを迎えている。
人口減少時代に突入し、現実問題として生産人口、消費人口ともに減っていくのは分かり切っているのであり、当然だがこのままでいたら国内マーケットは人口の減少とともに縮小してしまうのが数字の上の理屈である。
その部分を埋めるべく、海外からの訪日旅行者を増やすいわゆるインバウンド政策を掲げ、遅れながらようやく1,000万人を突破したのが去年である。
しかし、諸外国に目を向けて考えてみると、お隣韓国はすでに1,200万人を達成し、中国は香港と合わせると、実に約8,000万人となっており、世界一の観光大国フランスに迫る勢いを見せている。
このように世界に目を向けて考えると、日本の訪日外国人はまだまだであると同時に、伸び白はいくらでもあるように思われる。
では、マーケティングの原点に立ち返って、ターゲットを明確にしてみようと思う。
外国人といえども、国が違うわけなので、当然文化や民族性が異なり、一概に外国人を受け入れようと思ってもなかなか標準化することが難しい。
そこで昨年の訪日旅行者1,000万人の内訳を見てみると、1位は約245万人で中国であるが、2位は221万人で台湾である。
私はこの台湾に注目していきたいと思う。
釈迦に説法かも知れないが、台湾について少し触れて行きたい。
台湾は国際的には国として認められておらず、中国の一部という形になっている。
そのため、国際連合党の加盟ができず、したがって世界遺産も存在していない。
もちろん、世界遺産にすべき施設や場所は多く存在するのだが、残念な話である。
国民の多くは中国と同じ漢民族で、中心地は北部にある台北市。この北部に人口のやく7割近くが集中している。
そして、経済も独自に発展しており、GDPではアジア5位を誇っている。
ではなぜ台湾なのかと言えば、アジア諸国と歴史上で所々の問題がある中で、台湾は親日国なのである。
実際に日本政策投資銀行がアジア主要8か国で行った海外旅行調査においても、台湾人の行きたい旅行先は日本がダントツのトップであった。
それゆえか、日本の文化に対する造詣や関心が高く、日本の家、温泉、景観、和食というものに関して多くの台湾人が憧れを持っているとの調査データがある。
そして台湾の文化も歴史的背景もあって日本に非常になじみやすいものになっているのである。
日本文化をアピールするターゲットとして、少し台湾ということに触れて行きたいと考えている。
| 2014年06月27日|
第一印象はどこで決まるかと言われれば、もちろん『見た目』で決まるものである。
そして、その印象を持った状態で、他の様々な部分を認識していくのである。
例えば、人物であれば声、話し方、性格等知っていくのだろう。
ホテル・旅館の印象も同じで、どんなにきめ細やかなサービス、こだわりの絶品料理を用意しても第一印象によって全体的な満足度が大きく左右されてしまうことが多いのである。
そこで、今回は日本の文化を今一度考察し、5感のうち『視覚』について考えてみたい。
例えば、『夏』というキーワードで考えた場合、頭の中ではどのようなイメージを浮かべるであろう、照りつける太陽、ひまわり、蝉の声、麦藁ぼうし。
私は縁台に腰掛け、麦茶を飲みながらうちわを仰ぐという絵を想像したのだが、そこで注目したいことが、家の色である。
日本の家として想像する場合、多くは畳、白木の廊下や柱、土壁、ふすま、障子などであろうと思われるが、ここに登場してくる色は白やベージュ、薄い緑といった淡い色が多いのである。
これは、『捨て色』と呼ばれる色使いである。
捨て色とは他を映えさせる為にあえて薄い色で構成する色遣いのことであり、日本の建築物も含め色彩には多く使われている。
ではなぜ、捨て色を使うのか、そして何を映えさせようとしているのかということであるが、それは、『自然』である。
日本の文化の多くは、自然との共生、コントラストが多く、特に色使いは例えば季節の花を引き立たせたりという具合で淡い捨て色を周りに用いることが多いのである。
また、明かりの使い方も、そのままの火の明かりではなく、一度白い和紙を通す行燈など、優しい光になるように工夫されている。
そして、その捨て色、他を映えさせる色使いこそ、日本の色文化の象徴なのである。
このように育まれてきた日本の捨て色文化は、今や日本人の中では当たり前のこととして位置づけられており、そのために、日本人が精神的に癒される空間とは、この捨て色を使っている和室なのだという。
最近では、畳に座っては体制として苦しいなどの意見から、畳の上に椅子を置くこともされている。
また、布団よりベッドが好まれるとの話もある。
これらは日本には昔は無かった文化であるが、それでも、色遣いは捨て色であってほしいと私は考えている。
ホテル・旅館も見た目で印象が決まる。
そうであればこそ、色使いというものを考え、日本文化である『捨て色』を上手に使った癒しの空間を作ること。
これこそ日本文化なのだと私は思う。
| 2014年06月19日|
私自身の体験の話を少々させて頂く。
先日、イタリアに行ったときの話だが、ローマからの帰りの飛行機が予定時間になってもフライトしない。
フライトしないどころか、我々の入場すら行われないということがあった。
結局飛行機が飛んだのは予定時間よりも1時間以上遅れての出発だ。
その上さらに私の座った席の話だが、当然エコノミークラスなのだが、フライト時間に映画を見ようと思い、前方のモニターを操作すると、私のだけ動かない。
CAを呼び、壊れていることを説明し、直らないのかと尋ねると、そのイタリア人男性CAは『我々の使命は、あなたを安全に無事に成田に送り届けることだ。
座席のモニターが壊れていることは問題ではない』と言われてしまった。
何ともその通りではあるのだが、腑に落ちない話である。
日本で同じようなことが考えられるだろうか。
先日乗った新幹線は、わずか1分程度遅れたことで運転手より『お忙しいところ列車が遅れましてご迷惑をおかけいたします。申し訳ございません』とのアナウンスが流れた。
つまり、イタリアで体験したようなことは日本ではまずありえないことなのだろう。
国によって国民性が異なるという話である。
インターネット調査による外国人が日本に来て驚くことの中に『鉄道が時間通り正確に運航している』というものがあった。
前述の体験があっただけに、日本の当たり前は世界では驚愕のことだということを感じさせられた。
さて、東京オリンピックの開催が決まってから、なにかと世界から日本は注目されている。
特に、観光面で日本という選択肢はアジアを中心に外国人に広く受け入れられるようになってきた。
和食も世界遺産に認定された。
また、日本の文化は世界が認める最高級サービス、ホスピタリティと位置付けられていることが多い。
そんな日本が世界に向けて発信している日本の文化を見つめ直し、それを最大限に具現化し、外国人が体験できることが旅館である。
そこで、次回以降改めて日本の文化について少し触れて行きたい。
なぜなら、良い旅館は様々な企画商品を開発しても、その基礎部分がしっかりしていないと商品価値が大きく下がり場合によっては悪評に繋がってしまうかもしれない。
では、その基礎部分とはなんなのか、私は、その基礎こそが『日本文化』であると考えている。
散文的な文章になってしまったが、外国人インバウンドを狙う今だからこそ、日本文化に着目する必要があるのではないかと思っているのである。
| 2014年06月16日|
ホテルと旅館、同じ宿泊施設ではあるが、この2つの業種の違いはなんだろうか。
もちろん、この記事を読んでいただいている皆様に聞けば、たくさんあるであろうが、宿泊する消費者に聞けば、洋風と和風という答えが一番多いのである。
少しだけ、旅館の肩を持たせてもらうと、もちろんそこもあるのだが、大きく違うところは、ずばり『夕食』ではないだろうか。
現在では、旅館側も夕食の無いプランを作っているが、基本的に旅館の料金の中には夕食料金は含まれている。
そのため、当然原価もかかっているわけだし、その分ホテルに比べ料金が高くなってしまうのである。
だからこそ、旅行の際に宿泊施設を選ぶときホテルと旅館の比較を、特に価格で行ってしまうことに関してとても違和感を覚えるのである。
さて、そんな中、旅館で提供される夕食について触れて行きたい。
このコーナーでも何度か夕食や和食について触れてきたが、今回はその中の『アルコール』というものに関して考えて行きたい。
正直なことを考えると、一番利益率のいいものとなるとアルコール飲料が挙げられてくるのではないだろうか。
個人的にいつも不思議なのだが、お酒と同じ量水を飲めと言われると到底無理な気がするが、なぜかアルコールだといつの間にか飲んでしまっている。
それだけ、アルコールは回転もいいのである。
しかし、昨今では若者のアルコール離れが問題となっている。特に宴会でのビールや焼酎ではなく、清酒は本格焼酎の分野である。
ワインが初めてなのか、どぶろくが初めてなのか、ビールなのか諸説あるが、アルコールの期限は紀元前である。
それは人間の生活にとってアルコールが欠かせないものであるということである。
そして、それぞれの地域や風土、生活習慣によってアルコールは様々な変化をとげ、現在では世界中に様々なアルコール飲料が存在し、それとともにその場所の食事も発展してきたのである。
例えば、清酒。日本酒と呼ばれることが多いが、原料は米。米を発酵させて作られたこのアルコール飲料は、グルタミン酸やイノシン酸と言われる魚のうまみ成分と非常に相性がいいのである。
そのため日本ではそれに合わせてか魚を使った、他にはない食べ方『刺身』が発達したのだと言われている。
和食が世界遺産に認定され注目されている今、夕食を提供する旅館業だからこそ、和食のいろははもちろん、日本酒やそれに付随する文化の継承をぜひとも期待する。
最後に、アルコールの話になったが、各いう小生は下戸であり、適切な飲酒慣行を啓蒙していくことをお勧めする。
| 2014年06月06日|