第480回 印象

 マニュアルというものがある。

 このマニュアルのおかげで、どこに行っても同じ対応、同じ料金、飲食店で言えば、同じ味を出すこと出来るのである。

 私はこのマニュアルというものはいいものだと思っている。

 実際に生活の中で様々な恩恵にあずかっている。

 しかし、このマニュアルによる決まった対応は時として、特にサービス業の中では不快にさせることもある。

 今回は自分自身の体験談を少し触れさせていただきたい。

 実は仕事の際の出張の時、旅行代理店にお願いして手配することが多い。

 なるべく安くということより、色んな旅行代理店を利用するのだが、ある時、出発ギリギリの購入になってしまい、ある旅行代理店へ伺った。

 そして、いつものように注文したところ、期限が近いため発券ができないとのことだった。

 なんとかならないかその旨伝え尋ねても、どうしてもだめだ、システム上の問題のためどうすることもできないとのこと。

 理由はわかるのだが、どうも腑に落ちない私は、同系列の別の代理店へ、同じ話をしたところ、やはりシステム上の理由で難しいとの話。

 しかし、その店の対応してくれた女性は、その後、他社商品も調べてくれ、さらには全く関係ないネットエージェントの空室状況なども調べてくれた。

 人によっては、オーバーサービスというかもしれないが、私個人としては後者の女性に非常に感謝している。

 結局この話で導き出されるのは、客の目的はということなのである。

 私の目的は、出張に行けるということである。

 そのためにどうしたらいいのか、後者の女性は同じ立場で考えてくれた。

 しかし、前者は自社の都合を私に伝えるだけで、私個人の問題は何も解決しなかった。

 その一点が、私の印象に強く残り、今後の出張の予約手配は後者の旅行代理店にお願いしようと思う。

 実際の現場の話として、現場の都合もあるだろう、特に日々仕事をしていると、忘れてはいけない感覚なのだろうが、忘れてしまいがちなのである、お客様の立場を。

 現場の都合はお客様には関係ないのである。

 もちろん理不尽な要望のケースもある。

 今回の私のケースは多少理不尽だと反省もしている。

 しかし、そこに『もうしわけございません』や『お力になれず』などの一言があれば印象も全然違うのだ。

 仕方がないケースでも、その後の対応やその後の一言などによって、むしろそこの印象によってお客はリピートするのではないだろうか。

 この間、私が実際に経験したこと、この経験則をいかし、もう少しマニュアル等について掘り下げて行きたい。