第259回 業務スタンダード重視の運営をめざす
スタッフの技量が人によって差があるのはあたりまえだ。とりわけ旅館で目立つのは人的サービスのレベル差である。
ネット系の口コミサイトを見ると、同じ旅館でも、接待をほめているコメントと逆にクレームとなっているものがある。
それは現場でもわかっていて、Aさんは人当たりがいいが、Bさんは雑だという声があがる。女将が何回注意しても直らないので、いつも困っているというような話である。
顧客から見れば、たまたま担当がAさんになればラッキーだが、Bさんの場合は不愉快な思いをする確立は高い。
でも様々な理由から、Bさんの問題可決を図れないまま引きずっているケースが多い。
実はこのような現象については、何もサービス部門に限ったことではなく、全ての部門に存在する。そして何らかの形で顧客に影響を与えている。それがその旅館のグレードに直結しているのである。
今、旅館の品質を上げる有効な手段は、業務ごとのスタンダードを確定し、それがいつも皆できるように教育訓練を実施することだ。そしてそれができないスタッフには配置転換をはじめとした対応をすることを、あらかじめルール化することである。
日常が何となく回っているからという理由で、オペレーションの現状をチェックしていない旅館が非常に多い。昔決めたであろう手順を、何の疑問もなく続けている危険性に早く気づくことである。このきっかけは、口コミサイト等の顧客の声であがったクレームや要望事項を活用することが有効だ。
個人客が釈然としないことは、オペレーションに何らかのひずみが生じていると思ってよい。だが、現場に対して口頭で注意をするだけでは、いつまでたっても解決はしない。
まず、問題となったオペレーションの現状をよくみることだ。その結果、なるほどこれが原因だったのかというものが必ず見えてくる。そこで目指すべきオペレーションを確定し、現実とのギャップをいかにして埋めていくかを決めていく。それを全力でスピーディに変えていくことである。
今、求められているスタンダードの構築と、その実現が、顧客から選ばれる旅館になるための確実な道である。