第329回 自ら「変化」を!
3年前、アメリカのオバマ氏は「チェンジ」と叫んで、アメリカ国民を魅了し大統領に就任した。
それからわずかの間にリーマンショックや政権交代、大震災に原発事故と、世の中を揺るがすエポックメーキングな出来事がわれわれの周りに次々と起こってきた。
これらは「想定外」の連続であったが、もはやその言葉で片付けられる時代ではなくなったのかもしれない。
外的環境の急激な変化というのは、えてして悪いイメージで捉えられている。
だから急激な環境変化に適応できないところは、経営の悪化の原因をそのせいだけにしたりする。
でも結局のところ、それでは誰も助けてはくれないよということで、環境の変化に敏感に反応せよと、マネジメントの先生やマスコミに頻繁に登場する実務家たちは口を揃えて言っている。
しかしそれだけではまだまだ受身体質から脱却できない。
むしろ自ら変化を肯定し、変化を仕掛けていく体質がエクセレントカンパニーのスタンダードとなっていくのではないか。
旅館業は総じて「待ち」の商売が続いた。
商圏が広いため、直営業だけではおのずと限界がある。
したがってエージェントにその多くを依存し、多額の手数料を支払ってでも集客をしてきた。
それがネットに移行してきたところで、その体質は基本的にかわっていない。
しかし、長く続いた「客を待つ」という基本スタンスでは、もはや旅館のビジネスモデルが成立しない。
常に変化し、自ら発信する姿勢を経営者が行う事により、旅館の雰囲気が目に見えて変わってくる。
逆に客はもう来ないとあきらめてしまったところは、その姿勢が鮮明に具現化してくる。
そこからは負の連鎖反応が加速し、やがて手の打ちようがなくなってしまう。
あれこれと悩み、何の行動も起こさないのでは、結局時間だけがすぎさってしまう。
ビジョンやそれに向かう行動が無いところは、例外なく衰退が待っているだけだ。この業界がここまで来るのは想定外だという前に、
自分なりの「チェンジ」とは何が必要かを、改めて考え直してみるべきだ。