第367回 外国人観光客より考える日本文化 ③

 5月24日に日本政府観光局(以下JNTO)から中国の旅行会社に訪日旅行についての新しい調査結果が発表された。

 この新聞でも掲載されていたが、「今年期待できる訪日旅行のテーマ」を複数回答で聞いたところ、全体の63%が温泉を挙げた。

 2位は「ショッピング」で59%だった。

 以下は桜の花見が56%、スキー・雪遊びが50%、秋の紅葉が48%、美食が46%、マンガ・アニメが44%などだった。

 この調査結果をふまえ、今回では今後の対中国方針を考えていきたい。

 まず、温泉について考えていきたい。

 前述の結果のように中国人訪日旅行客にとって日本の一番の魅力は温泉にゆっくりつかることである。

 もちろん中国にも温泉はあるようであるが、日本の温泉とは様子が違うようで、簡単に言えば、みんなで入浴する規模の大きな浴場といったものには馴染みがない。

 しかし、日本人同様に、中国人も、温泉につかり、きれいな景観を楽しみ日常の疲れをどっと落とすということに非常に関心があるのだ。

 ここで問題になるのはマナーの問題、いや、文化の違いである。

 例えば中国人は人前で裸になることに慣れていない。

 そのため、温泉でもタオルを付けたまま入ることや、下着を付けたまま入浴するなどの話を聞き、その話は中国人はマナーが悪いという話として聞く。

 さらに、中国人は声が大きい。

 そのため知人同士の会話も言葉がわからない日本人が聞くと喧嘩をしているように聞こえる。

 そのため、温泉で中国人旅行客と一緒になった場合、マナーが悪く騒がしいといった印象になることが多いのだといえる。

 しかし、ここで考えられるのマナーの問題より、文化の違いなのである。

 では、どうし中国人旅行客に対して日本の文化をしっかりアナウンスしてあげることである。

 もちろん中国人旅行客を受け入れるうえでは、中国人旅行客に限定し宿泊をとり、中国の文化に合わせるといった方法の方が簡単で早い。

 しかし、その方法ではいつまでたっても日本人旅行客と中国人旅行客は共存することができなくなってしまう。

 そのため、日本の文化を掲示板や案内の接客係に伝える必要がある。

 今後訪日する中国人が増えていく中、前述の調査結果のように温泉をはじめ、花見、紅葉といった日本の文化に関心があるため、日本の文化をしっかりと中国人旅行客に案内する。

 そこに、共存するための対中国方針の鍵があると考える。