第368回 インバウンド施策のためのツール~SNS

 20年ほど前、インターネットの普及に伴い世界中の人たちと簡単につながれるという話があった。

 しかし、世界中にもともとネットワークがあった一部には飛躍的な話であったが、世界中の人たちと友人がいない場合はなかなか実感できなかったのが本音であった。

 ここで世界の人口を考えてみたい。

 世界の人口を見たときに、2011年の調べによると、圧倒的な1位はもちろん中華人民共和国(以下、中国)で約13億5千万人、2位はインドで約12億人、と世界総人口約70億人に対して、この2か国で約36%を占めており、続いての3位のアメリカ合衆国が約3億人なことを考えると、圧倒的である。

 では、これに対してインターネット利用人口はどうであろうか。

 実はインターネットの利用人口は約20億人であり、単純比較はできないものの、世界のマーケットから考えると、実に大きな市場であると言える。

 そして、このインターネット業界の中でも昨今注目されているのがソーシャルネットワーキングサービス(SNS)であり、その代表格が『facebook(以下、FB)』である。

 そもそもSNSとは、人と人とのつながりを促進・サポートする、コミュニティ型の会員制のサービスと定義されており、簡単に言えばインターネットを通じて色々な人とつながれるサービスのことである。

 そして現在FBに登録している利用者数は2011年3月現在、約8億4500万人もの人間が利用している。

 先ほどの世界人口に仮にあてはめてみると、アメリカを抜いて世界3位の規模なのである。

 このことを鑑みるに、これを日本の観光業、ひいては個々のホテル・旅館に取り組むということは一つの大きな販売戦略になるのではないであろうか。

 もちろん、言語が異なるため、FBとはいえ整えるべき環境はあるのだが、現に日本のホテルや旅館でも積極的にFBに取り組んでいるところは多い。

 最大の魅力は、その情報発信の方法にある。

 今までのHPは新しいコンテンツを更新しても、閲覧する人がいなければ効果が薄いいわば受け身の姿勢であったが、このFBを始めとするSNSは自ら情報を積極的に発信することができるのである。

 魅力をアピールするには、周知し次に認知してもらうという基本的な流れがあったが、まずは周知する。

 様々な課題があるにせよ、この周知という部分を担っていくうえでFBを始めとするSNSは今後ますます無視できない存在になるのではないだろうか。