第369回 おもてなしの基本とは
『接客士』という資格がある。
この資格は、私どもがいる熊谷でNPOを中心に活動している資格で、内容は接客マナーについての技術を高めようということである。
基本的接客技術はもちろん、最終的には車いすの方の補助や、盲人の案内等もないように含まれている。
この『接客士』を代表するように、実は日本中でこのような資格や取り組みが数多くみられている。
では、なぜこのような取り組みが行われるのかを考えてみたい。
それは、障害をもってしまった方でも敬遠することなく接客を行い、当たり前のように接することこそ、サービス、いや、ホスピタリティなのだといわれている。
ここに接客の大きなポイントがあるのではないだろうか。
例えば、障害のある方をホテル・旅館でお迎えすると考えた場合、何を準備したらよいかと考えた場合、まず思いつくのが手すり、スロープなどの設備、いわゆるバリアフリーといわれる部分である。
しかし、この建物や設備、ハード面での備えは当然費用もかかり、場所によってはできるできないの問題がある。
では、ハード面が備わっていないと障害のある方をお迎えできないのか。
いや当然そんなことはない。
接客係やフロント、客室係といった従業員を中心に、障害に関する基本的な知識があり、車いすや盲人の補助等を行えれば、ハード面がそろわなくても対応できるのである。
車いすで乗り越えられない段差があっても、段差を何とか無くそうということも必要だが、補助する人間がいれば乗り越えられるのである。
いわばソフト面での対応である。これこそ、サービスの原点だと思う。
この話は何も障害者に限った話ではない。
通常の接客でも当たり前のことなのである。
接客はサービスやホスピタリティと言った形で、様々な形態の方法が議論され、テクニックの話があるが、お客様に対して接客をするうえで大切なことは、言葉や知識ではなく、この相手をもてなすといった『気持ち』が何より大切なのだ。
それは、日本では『おもてなし』という形で表現されている。
この『おもてなし』とは何かと言われれば、辞書等にもさまざまな意見が載っているが、私は相手のことを思う『気持ち』、相手の立場に立って考えることだと思う。
接客の質を上げるときに大切なのは、知識や技術はもちろんであるが、基本はお客様をおもてなすという気持ちの部分。
当たり前のことだが、最近あまり見られなくなっているように感じるため、ここにあえて書かせていただく。