第375回 営業戦略の構築のために~管理会計~

 夏休みに突入すると同時に、ロンドンオリンピックが開幕した。

 柔道より始まり、競泳、サッカー、体操と日本の活躍が目覚ましい中、こんな話を聞いた。夏休みに入ったにもかかわらず、例年は満室のこの時期に満室にならないというのである。

 もちろん、昨今の予約傾向が直前の予約が多い状況から鑑みると、その後すぐに満室になったのかもしれないが、この状況の要因の一つにロンドンオリンピックをあげている。

 つまり、夏休みに突入し、レジャーシーズンなのだが、ロンドンオリンピックの影響で、自宅で応援・観戦しこの時期外に出ないのである。

 もちろん、酷暑など他にもさまざまな要因があるであろうが、かつてサッカーワールドカップの時や、ワールドクラシックベースボールの時も同じような現象が起きている。

 しかしながら、ロンドンオリンピックを上手に組み入れている宿泊施設もある。

 その施設では、大きなテレビを食堂に設置し、宿泊客と一緒に観戦・応援するプランを考案し、この時期満室になっている。

 ここから導かれるように、あらかじめ想定できるものをしっかりと考慮し、対策を立て、それを営業に活かし売り上げをあげる。

 経営戦略をしっかり立てることが重要ということである。

 現に、ロンドンオリンピックをしっかりと想定していた宿泊施設はそれに沿ったプランを構築し、しっかりと売上に結びつけている。

 この経営戦略を立てる上で大きな指標となるものの一つに数字がある。

 昨年と対比すること、他の同規模宿泊施設と比べるなど様々な指標はあるが、今回ここでは、『管理会計』ということをあげていきたい。

 管理会計は戦略構築のために、未来のために行う会計のことである。

 宿泊施設には他の業種とは異なる会計になる部分がある。

 たとえばクーポンなどがその例にあたる。

 ここで、クーポンを例にとって管理会計から、営業戦略構築の流れを考えてみる。

 まず、クーポンの各業者別の値をしっかり把握する。

 これだけでも大きく違う。これにより、どの業者からの効率が良いかがはっきりし、この数字を前年と比較することにより傾向が表れる。

 さらには、直接営業とエージェントの比率、営業に投資すべきか否かなどが考えられる。

 次回より、この管理会計を具体的に考えていきたい。