第376回 営業戦略の構築のために~管理会計~②

 管理会計の具体的な指標として、第一回は売上に注目していきたい。

 夏休みでにぎわうホテル・旅館業にはこの時期様々な形で売上がある。

 それは、宿泊料金はもちろん、飲み物や土産物、マッサージなどその売上の種類は様々ある。

 ホテル・旅館の管理会計ではそれを大きく2つに分けて考え、一泊二食のような基本的な宿泊売上を『主体売上』、それ以外を『付帯売上』とする。

 この主体売上と付帯売上をきっちり分けることが旅館の戦略を立てるのに大きく役立つのである。

 ではまず、売り上げの根幹たる主体売上から考えていきたい。

 この主体売上をのばしていくことこそホテル・旅館業の最たるものではあるが、容易ではないのが実情。

 もちろん宿泊人数が現行の料金設定のまま増えれば単純に売り上げは上がっていくのだが、宿泊人数をあげるためにコストパフォーマンスにより、この主体売上の価格を下げていくことが多い。

 つまり、薄利多売の戦略を選択するケースが多い。

 これには世の中の情勢が色濃く影響する。

 また、では単価の上昇からのアプローチはどうか考えてみても、これも難しい。

 単価をベースとして売り上げを上げるためには、宿泊人数を減らさないことが重要になってくるが、単価の上昇ではどうしても宿泊人数の減少につながってしまうため非常に難しいと言える。

 そこで、考えられるのは付帯売上の上昇である。

 これは、夕食時の飲料を一本追加する、お土産を1品多く購入してもらうなどの方法が挙げられるが、この方法ならば接客係が、フロントが、売店のスタッフがさりげなく勧めることや、名物商品を作るなどによって大きく向上する可能がある。

 もっとも、付帯売上自体の割合が全体から見た場合に少ないのは言うまでもないが、例えば、エステの消費単価などは宿泊単価に匹敵するようなケースもあるので甚だ見逃すわけにもいかない。

 このようにホテル・旅館館内のスタッフが行う営業を館内営業と位置付ける。

 この館内営業に力をいれ、付帯売上を分析し、売店に新商品や人材を投入して売上を伸ばすこと、食事やその後に飲料が多く消費されるような仕組みや商品を開発することなど、付帯売上を高めていく。

 これもこれからホテル・旅館業が更なる発展するために必要な大きな戦略といえよう。

 そのためにしっかりと何による売上なのか。

 主体なのか付帯なのか、把握することが必要である。