第384回 己が旅館について知る~②お客様の立場に
ホテル・旅館には、毎日様々なクレームが寄せられる。
厳しい意見もあれば、送迎をリムジンにして欲しいなど、真顔で言ってるのと疑いたくなるようなものもあるが、そのほとんどが、ホテル・旅館の都合上のことが多いように思われる。
団体客と個人客が遭遇したときの個人客側の意見などはその典型と言える。
チェックインや食事もそうだが、団体客と同時間に遭遇した場合、団体客をまず優先的に案内し、その後個人客への対応という流れになっているところが多い。
これは業界ではさも当たり前の対応だと言われているが、なぜいままでその方法がまかり通るのであろう。
旅行にはそれぞれストーリーや思いがある。
記念日に行く旅行だったり、ずっと楽しみにしていた家族旅行だったり、みんな非日常を楽しむために期待に胸躍らせて旅行しているのだ、それが、ホテル・旅館側の都合とはいえ、後回しにされたときどう思うであろう。
きっと、その旅行の思い出自体を大きく傷つけてしまうのではないだろうか。
しかし、もちろんそのようなことは旅館も承知しているが仕方ない場面も実際にある。
団体客と遭遇してしまう場合、人手が足りないなどの理由も存在することも確かなのだ。
ではどうしたらよいのか、それは様々な方法があるが、ある旅館では、女将自ら事情を説明し、お茶とお菓子をだし待っていてもらうということをしている。
これが大切なのである。
お客は邪険にされているのではないかと思ってしまうから、クレームにつながるのである。
そこを一言、大切なお客様ですということを示すことが重要なのだ。
実は、このような例はホテル・旅館には数多く存在する、オペレーションの一つ一つを見直すとホテル・旅館サイドの都合になっており、お客様のためになっていない場面が。
この部分を見つけるにはどうしたらよいのか、それは簡単なことで、体験してみればいいのである。
実際に、自分の旅館にお金を払って泊まってみればすぐにわかるのである。
1日は難しくても、たとえば、自分の旅館でお客様と一緒に食事をしてみる、お風呂に入ってみる、寝てみる、これだけでもいろいろな部分に気付くことができる。
よくお客様の立場に立って考えてみようというが、考えるだけではなく、実際に行ってみるとより効果があるのではないだろうか、もちろんその場合は普段着で行ってほしいものだが。