第386回 己が旅館について知る~④みやげ物ついて
平成22年の国際観光旅館連盟の調査によると、売店の一人当たりの売上は1,186円、大規模旅館平均は1,531円、小規模旅館に至っては863円という状況である。
では、ここでふと自分に置き換えて考えてみたい。
旅行に行ってお土産を買わないだろうか。
いや実際にはお土産はみんな買うのである。
平成19年、奈良県で行った調査で、旅行客にお土産を買うかどうかたずねると、89%の人が買うと答えている。
それは、自分自身のお土産ではなく、多くは家族や友人、会社の同僚などへのお土産である。
そこで、先ほどの一人当たりの売上と比較してみると、どうも数字が合わない気がする。
つまり、旅行客はお土産は購入するが、多くの旅行客はホテル・旅館ではお土産を購入せず、ドライブインや地元のみやげ物やで購入するのである。
では、陳列されている商品に違いはあるのか。
それはみなが知っているようにほとんどない。
ではなぜホテル・旅館で購入しないのか。
そこに今回の大きなポイントがある。
そこで今回は前回に関連して、みやげ物を扱い館内消費を増やすということを考えていきたい。
まず、見直さなければいけないのが、前回書いた『動線』である。
お土産を購入する時間はいつなのか。
多くはチェックアウトの時であろう。
肝心なのはその場所にみやげ物があるかどうかである。
そして、次に大切なのは、お土産売り場の活気である。
多くの旅館の場合、みやげ物売り場はフロント係が兼務しており、その場所にいないことのほうが多いのではないだろうか。
実際に自分自身が旅行した際に、だれもいない場所で物を購入するだろうか。
なので、忙しい人員配置なのはわかるが、みやげ物が売れる時間に絞って人員を配置する工夫が必要であり、その配置した従業員に活気が求められる。
朝市をやっている旅館が多いが朝市がなぜ売れるのか。
さまざまな理由があるが、そのひとつに活気があるのは間違いない。
お菓子の実演販売を行っている旅館もみやげ物の売上を伸ばしている。
そして、何より大切なのは館内営業である。
簡単に言えば接客係のトークである。
多くの場合、部屋、その旅館の売りのお菓子や漬物を置いている場合が多いが、その説明をできているであろうか。
これが、しているのいないとでは、お土産の売上は大きく変わってくる。
実はこれはみやげ物に限った話ではない。
館内消費を増やし、付帯売上を伸ばすには、動線・活気・従業員トークこれがポイントになってくると思われる。