第388回 『三本の矢』の考えで~①提唱
戦国時代、中国地方を治めていた戦国大名、毛利元就はある日、三人の息子(隆元・元春・隆景)を枕元に呼び寄せ、1本の矢を折るよう命じた。
息子たちが難なくこれを折ると、次は3本の矢束を折るよう命じたが、息子たちは誰も折ることができなかった。
元就は一本では脆い矢も束になれば頑丈になるということを示し、三兄弟の結束を強く訴えかけた…
この話は言わずと知れた有名な毛利元就の『三本の矢』の話である。
日本には昔より、『三人寄れば文殊の知恵』や『鴨も集まって動ずれば雷となる』など、一人では小さなことでも、力を合わせれば大きな力になる。
力を合わせてことにあたるべしという考え方がある。
お互いがお互いを助けあい、相互支援を行うという考え方である。
たとえば、損害保険などの考えがこれにあたる。
このことは今のホテル・旅館業界でも同じことが言えないだろうか。
秋になると、様々な出版社より業界予報が出ているが、どの出版社も国内旅行は曇りか雨となっており、来年も厳しいことがうかがえる。
そんなかに、一つのホテル・旅館で立ち向かうことは困難な場面が大きい。
そこで、近隣といえど、ライバルといえど、手を組むところは手を組んで立ち向かって行こうということを、IKGでは提唱している。
そして、それは今までの団体のような取り組みではなく、もっとコアな取り組みを行うべきであると考えている。
例えば、近隣のホテル・旅館通しで共同の企画を作成し、1泊目、2泊目とお互いで送客しあう形や、名物料理の共同開発から仕入調整などである。
三本の矢の話ではないが、1軒のホテル・旅館ではなかなかできないことも、協力し数の上で行えばできることもあるかもしれない。
そのためには多少影響はあると言えど胸襟を開く必要があるのではないかと考えている。
当IKGではまず、それを47都道府県単位で実施していきたいと考えている。
共有できる情報、相互協力できる部分を積極的に協力し合い、乗り切っていこうと考えている。
余談であるが、お隣中国では『一人では龍になるが、三人寄れば豚になる』といった全く逆の諺がある。
なんとも、文化の違いではあるが、筆者は日本人はやはり三本の矢の精神なのだと考え、信じている。
次回より具体的な手法や考察について触れていきたい。