第391回 従業員満足度について
近年、顧客満足度とともに、従業員満足度が注目されてきている。
これは従業員の会社に対する満足度を高めることが、会社の業績を上げるという効果があるとされる考え方である。
従来は顧客満足度を高めることが会社の業績を上げるもっとも有効な手段とされていた。
もちろん、それはもっとも大切なこと。
しかし、そこで、従業員のモチベーションが下がるという事態が発生し、そのことが業務自体に影響を及ぼし、ひいては顧客満足度を下げる結果につながっていった。
ごく当たり前に言われている、従業員満足度の話である。
これは、ホテル・旅館業には顕著に現れているのではないだろうか。
特に近年、ホテル・旅館業は業界全体として不況の中で、従業員の数を可能な限り減らしてきているのではないだろうか。
そのため、この従業員満足度の問題はとても難しい問題である。
しかし、同時にクリアしていかなければならない問題でもある。
従業員を減らしました、サービスの質が低下しましたでは意味が無いのである。
では、どのようにして従業員満足度をあげていけばいいのか、それには様々な方法がある。
例えば、インセンティブ(給料)のこと、労働環境の整備、福利厚生など、いくらでもある。
しかし、ここであえて提言したいのがチェンジチェアー、立場を買えて物事を考えるということである。
具体的に言えば、よく従業員教育の中でお客様の立場に立って物事を考えようということが多い。
では、同様に、社長の立場に立つということも考えられるのではないだろうか。
従業員だから関係ない、ということは本当にいえるのか。
給料、休みはしっかり欲しいといえるのか。
権利なのでもちろん言えるが、だからこそあえて提言したい、お互いの立場に立って物事を考えようと。
ホテル・旅館業の中で、『おもいやり』はもっとも大切なひとつである。
では、おもいやりとはなんなのか。
筆者はおもいやりとは、お互いがお互いのことを考えることだとも解釈している。
もちろん、一方通行ではいけないし、持っている権利はしっかり主張、行使すべき場面もある。
しかし、従業員も社長や上司の立場に立って考え、社長や上司も従業員や部下の立場に立って考える。
そうした双方向のベクトルが働くことこそが、おもいやりなのだと、そして、それを実践するのが観光業に携わるものの使命だと考える。