第392回 青森県の取組み①
昨年もこの時期に書いたが、今年度も昨年度に引き続き、青森県内にある複数のホテル・旅館に対するコンサルティングを実施している。
この事業の主旨・目的は次のとおりである。
東北新幹線が青森県内の新青森駅まで開通し、青森県内全域に多大な集客効果をもたらせている。
この効果を継続獲得するために、青森県として、県内観光産業全体の収益力向上を図るということが必要不可欠であるということである。
そのため、事業としては、青森県の複数のホテル・旅館に繁忙期にあたる7月~8月の宿泊客を対象にアンケートを実施し、それぞれのホテル・旅館に対し、顧客層や誘客要因、期待値、満足度の高いもの低いものなどを調査、そして、それを基に個別のコンサルティングの実施という流れになっている。
そして、昨年同様、今年度も県の2つの部署の合同の施策として取り組んでいる。
そのため、満足度調査をし、その改善策をコンサルティングを交え取り組んでいく一方で、経営の安定のため、内部オペレーションや経営改善といったコンサルティングも行っている。
このように違う部署通しが連携することにより、ホテル・旅館側は様々な形で複合的に享受できるシステムとなっている。
昨年も述べたが、まさに画期的な取り組みである。
具体的な方法として、今回のアンケート調査は、通常の点数評価の部分もありながら、記述する部分を多めに構成されている。
そのため、回収率が悪いのかと思いきや、予想をはるかに上回る回収が行え、しかも、記述欄もびっしり書かれているケースが多かった。
したがって、通常の評価に加え宿泊客の生の声が数多く集まってきている。
そして、そのアンケートを基にコンサルティングを実施する。
アンケートが生の声であるため、たとえば、今まで朝食の評価が夕食に比べて劣っていた旅館は、お客様の声より、何が原因なのかを具体的に知ることとなり、そこを改善するため具体的なコンサルティングを実施できる。
また、一方で、経営安定化のために仕入の管理や、経費管理なども同時に行っている。
前にも書いたが、観光を考える際に『一人勝ち』ということよりもまず、自身が勝負する場所、そこに魅力を付け、周知させ、認知してもらうことが第一歩であると考える。
その場合、昨年から引き続いている青森県の取り組みは、まさに画期的で、的を射ている取り組みと言える。
次号より、具体的なこの取り組みについてより詳しく紹介していきたい。