第395回 青森県の取組み④
今回の青森県の2年間の取組みによって、どのような成果があるのか。
一番は旅館側の意識の改善にあると考えられる。
今までは、青森県という土地柄、ターゲットとして考えられていたのが、北海道や宮城のお客、それと地元もお客が中心であった。
しかし、東北新幹線の新青森駅までの開通によって、関東の人からも身近な存在になったのだが、それに伴い当然観光地としての整備が必要になる。
というのも、東北新幹線の終点構想は青森県がゴールではないからである。
ご存じの方もいると思うが、東北新幹線は数年後には津軽海峡を越え北海道まで開通する計画がある。
その時、青森県はいかに存在感を示せるか、そのために今何をすべきなのか、それを宿泊施設や観光地を始め、県民全体に浸透させ、何かを始めなければならないのである。
それにたいする取り組みとして、青森県として今回の事業の果たした役割は非常に大きいと言える。
そして、そのための整備として、コンサルティングを活かし、様々に対応していくこと、繰り返しになるが各宿泊施設は、例えばバックヤードの整備を行い、従業員動線の整備を行った。
それにより、接客係の効率化が図られ、より一層のサービスの向上に努められる。
また、アンケートにより、予想以上にホームページの閲覧者が多いということ、関東地方からの宿泊客が多いということが分かり、そのことよりホームページの整備が営業につながることを鑑み、ネット環境の整備を行った。
さらには、財務分析により、自施設において何が問題かが明らかになり、仕入原価の再検討を行った。
など、大きくレベルアップをしている。
そして本来、その“気づき”は民間で行うものを、行政主導で行っている。
それが、未来の青森県のためなのだと行政指導で行うということが画期的なのだ。
地域の取組みとして、今年度の青森県での取組みに関して全4回にわたり紹介させていただいた。
私は、このような取組みが日本中に広がっていき、地域全体で観光を作りあげ、盛り上げていく体制が取れることを願っている。
執筆にあたり、協力いただいた、青森県国際戦略局観光企画課の皆様、各旅館の皆様に感謝申し上げ、2013年が今年以上に観光業界を始め、日本全体がいい年になることを願っている。