第397回 金融円滑化法とその後について②
前号で触れた、経営革新等支援機関認定制度について、もう一度その仕組みと背景を述べていきたい。
昨年末の衆議院議員選挙において、日本国の政権与党が民主党を中心とする連立内閣から自民党を中心とする連立内閣に変わった。
そして、それに伴い、各省大臣も交代するなか、金融担当大臣に就任した麻生太郎氏は、就任の会見においてはっきりと金融円滑化法の再々延長は無いと明言した。
ただ、その中で、企業によって状況は異なるため、銀行には個別に十分対応するように指示するのが金融庁だと述べ、急激な変化をしないようにと暗に促す発言をしている。
このことより、法律はなくなるが、実質は何も変わらないで欲しいという、なんとも玉虫色の内容になっている。
そのわけは、金融円滑化法により、条件変更を受けている企業は公式発表において全体の1割弱、30万から40万社であり、そのうち、円滑化法終了後に返済が再開すると、倒産してしまう可能性がある企業は6万社近くに上るといわれている。
この状況を救済する政策が、いまだ行政として見いだせていないのが玉虫色の実情ではないだろうか。
特に、観光業界では円滑化法の支援を受けているホテル・旅館は非常に多いため、この先の方針によって大きく変化してしまういわば死活問題なのである。
もちろん政府の救済策もある。
企業再生機構や、各都道府県にある中小企業再生支援協議会の制度がそれにあたるのではないだろうか。
これは、政府認定の中立な第三者機関であり、この機関が債権者と債務者の間に入ることにより、話し合いで私的整理や経営改善を行って行こうという計画で、2012年には3,000件の実績を目標としてスタートした。
中には、DDSなどのスキームを使い、現在再生に乗り出している企業もあるが、実情、昨年度4月から11月においてわずか191件のみである。
この実情の一番の原因は人手不足にあるという。
では、実際の現場として、どのように対処したらよいのだろうか。
前述の中小企業再生支援協議会が行っていることは、非常に有意義なことではあるが、人手不足がためスピードが伴わない。
そのため、民間の知識や実績がある専門家を、政府の認定機関とし、再生事業計画の作成を行い、円滑化法終了後に備えるということである。
この認定機関は、昨年末において全国に3,813機関が認定を受けている。
現状において、円滑化法終了後のことに苦慮しているのであれば、まず、再生支援協議会やこの経営革新等支援機関に認定されている専門家に相談することが一番ではないか。
次号では、具体的な手法について触れていきたい。