第404回 相手を知り、己を知れば 金融機関との交渉 ④
さて、前々回、金融機関の立場やデメリットを理解し、交渉に臨むというお話をさせていただいた。
今回は、その具体的な金融支援による企業の再生方法について紹介していきたい。
まず、一番にあげられる方法としては金融機関へ借り入れ条件の変更をお願いする、いわゆる『リスケジュール』というものである。
多くは、元金据え置きの利息のみを払うという形で行われていることが多い。
このコラム欄にもたびたび登場する『金融円滑化法』はこのリスケジュールが受けやすくなっていたという制度であった。
というのも、金融機関の立場から考えるに、通常の場合、このリスケジュールを実行する際は、前回に合った債務者区分を下げなければならず、その分引当金を積まなければいけなかったのだが、この制度適用中は、債務者区分を下げることなくこの支援を行えたのだ。
このリスケジュールの支援は、しっかりとした経営計画があり、ゆくゆくの将来像をしっかりと示し、条件を変更することにより、その間企業に体力をつけ、今後の返済実行を目指すという策である。
しかし、その期間中は新たな融資を受けることが困難になるというデメリットがある。
そして、次にあげられるのが、最近ではわりと耳にするようになった、『資本性借入金』である。
この資本性借入金とは、債務超過状態にある企業が現状の債務を資本的な株や劣後ローンに変え、返済条件を大幅に変更してもらう手法である。
この支援策を受けることにより、企業は元金返済、利息の支払いを劣後にすることができたり、配当という形で利益時に償還するなどの有利な策がとれる。
しかし、金融機関側としては引当金の額が100%であり、尚且つ、現金はおろか利息の返済も大幅に条件変更されることより、なかなか引き受けが厳しいのが現状ではあるが、近年、公的な機関である『中小企業再生支援機構』や、認定制度である『経営革新等支援機関の認定制度』などにより以前よりかは受け入れやすくなってきている。
ちなみに、債務を株のような資本に交換することをDES、債務を劣後ローンに交換することをDDSという。
他にもいくつかの手法があるが、大きくこの2つが良く使われる手法になってきている。
いずれにせよ、金融機関より条件変更等の支援をお願いし、支援を受けているその間に企業の体力をつけることが大前提になり、そのためには、金融機関の立場をよく理解し、そして、納得、協力、支援していただけるための経営計画が必要になることは言うまでもない。
もし、このようなことでお悩みの場合はまず身近な税理士等の先生に相談することを、そして、できれば認定機関に指定されている実績のある先生にご相談することをオススメする。