第409回 事業承継は至上命題 ⑤

 さて、事業承継について4回ほど書かせていただいたが、実は多いケースとして『後継者は決まっているが、まだ学生(子供)だ』などといったケースである。

 こんな場合は、後継者が大きく育つまで待つが、しかし時間がかかる。

 また、後継者は息子に決まっているが、今は大手の会社に勤めていて、あと何年も戻ってはこない、または継がないかもしれないといったケースもある。

 実は最近ではこのような悩みも解決する手段があるのである。

 今回は事業承継の中で、後継者がいるが今から時間がかかるかもしれないといったケースに対応する方法を紹介したい。

 その手段とは、平たく言えば人材紹介なのであるが、経営者に特化した人材紹介サービスである。

 というのもこの時期になると、大手企業などでは決算からの株主総会等の時期になる。

 すると、経営陣の大移動が始まるのである。

 この時期を狙い、経営者の人材紹介は行われるケースが多い。

 では、この経営者人材紹介はどの様な手段として利用するのかを具体的に考えていきたい。

 比較的多いケースとしては、後継者が育つまでの期間に代わりに経営を行う中継ぎ・リリーフと呼ばれるケースである。

 この場合、紹介される経営者は期間での契約となり、その期間経営を行う。

 そのため、事業承継の時期やタイミングを調整できることとなる。

 また、もし後継予定者が会社を継がないとなった場合の後継者候補として視野に入れられる。

 次に現社長がオーナーまたは会長として第一線を退くケースである。

 特に旅館業の場合、資産の多くが現社長個人に帰属しているケースなどが考えられる。

 経営の第一線からは退きながらも、会長やオーナーとして会社に対しある程度の影響力は残せるということが考えられる。

 最近のケースでいえば、現社長の右腕として手腕をふるうケースもある。

 この場合、紹介してもらうのは、経営者ではなく、たとえば副社長候補者や取締役として紹介して入社してもらい、紹介者は今までの経営の経験などを活かし、現社長の右腕、番頭として経営に参画するケースも見られる。

 いずれにせよ、経営者を紹介するというサービスがあるということ、そして、それを利用することにより事業承継をスムーズに行うことができるということ。

 このようなサービスがあるということにより選択肢に幅を持つことができる。

 大切なことは、きっちりと事業を承継する。

 そのための選択肢は多くそろえ、検討の上最善であろう形をとる。

 それこそが、事業承継の一番大切なポイントになると思われる。

 最後に加えて最近では後継者の配偶者を紹介するサービスなどもあるという。