第414回 外国人と向き合う ④
以前、『敵を知り己を知れば、百戦して危うからず』という中国故事、孫子の言葉を紹介し、宿泊するお客の立場に立って旅館を見直そうという話をした。
これと同じように外国人観光客の立場に立って考えてみたい。
自分が外国に行ったときの事を考えてみたい。
どこの国に行ったとしてもその国特有の宿泊施設は必ずあるはずである。
しかし、私たちもその宿泊施設に泊まるであろうか。
ほとんどの観光客はホテルに宿泊するであろう。
それは、ホテルの持っている世界共通の品質やサービスには慣れているし勝手がわかるが故であろう。
これは立場が変わって日本を訪れる外国人観光客も同じなのだ。
つまり、勝手がわからない旅館、日本文化はハードルが高いのである。
では、何が外国人観光客から見てハードルが高いのであろうか。
これは、知人の外国人から聞いたのだが、一言で言えば旅館はすべてが知らないことだらけなのである。
もちろん、箸や畳などはなんとなくは知っているし、外国でも国によっては触れる機会もあるのだという。
実際に日本食のレストランは今や世界中にある。
しかし、実際に旅館の中で過ごすということは、外国人旅行者にとってはほとんどが未知の体験なのだという。
例えば、ごく当たり前のことであるが、座布団がわからないと伺った。
私たちはごく普通に座布団の上に座ると思っているのだが、外国人の話だと、クッションの上に座るとは思わなかったという。
このようなことが旅館の中にはたくさんあるのだという。
インバウンド対策を行う上で、数字の上の話や、外国人観光客が何を望んでいるのか、日本文化を存分にアピールするにはなど様々な思索がある。
しかし、外国人だから特別というのではなく基本的なマーケティングは同じなのである。
つまり、ターゲットを見込み、そのターゲットに対し的確にアピールし認知してもらう、そのためにはまずはターゲットとなる対象についてよく調べる。
まずは相手を知ることが第一歩なのである。
最後に、インバウンド対策のすばやい解決策の一つとして、外国人留学生のインターンを受け入れるという方法がある。
外国人留学生は、もちろん外国人なので日本人が気づいていない座布団のような例を指摘してもらえる上、繁忙の時はスタッフとして、そして外国人観光客を受け入れる場合は通訳としてもお手伝いしてもらえる。
留学生も日本の実際の現場で働けるということで非常にうれしいとのことでまさにウィンウィンな形となる。
この夏の繁忙期に外国人観光客の受け入れを検討するのであれば、ぜひ検討して見る価値はあると思う。