第415回 温泉の見直し ①

 旅館の大きな特徴の一つに温泉がある。

 これは、日本の“旅館”特有である。

 みんなで、一つの風呂に裸で入る文化は他国にはほとんど見られない日本特有の稀有な文化で人気がある。

 実はこの温泉について最近様々な取り組みがなされており、インバウンドも含め注目の鍵となっている。

 そこで、今回は温泉について新たな取り組みについて2つほど触れてみたい。

 一つは温泉本来の“湯治”についてである。

 温泉には地域地域に様々な適応がありそこで深く湯治することにより健康増進の効果が親しまれている。

 その部分を今一度見直す動きが最近注目されている。

 いわゆる“ヘルスツーリズム”についてである。

 これは、温泉地に湯治することに加え、散策や山歩きのハイキングなどを組んで健康志向で行うツアーである。

 近年の健康志向のブームに、温泉が本来持っている健康への適応効果、自然から得られるリラクゼーション効果など非常に人気が高い。

 例えば山形県の上山温泉では温泉に加え、湯治客に散策ハイキングを加えたツアーが人気であり昨年のヘルスツーリズム大賞を受賞している。

 このヘルスツーリズムへの取り組みで重要なことは、一温泉旅館で取り組むのではなく、地域で連携して行うということである。

 つまり、以前話した、地域連携によって、その観光地自体の集客を図っていくということである。

 もう一つは温泉マニアという存在である。

 彼らは、温泉旅館はもちろん、その地にある温泉、つまり湯について非常にこだわっている。

 湯の成分はどうなのか、茶褐色や白濁、アルカリ性なのか酸性なのか、臭いはどうなのかと様々な観点で温泉とその適応を楽しみ自分の志向にあった温泉地めぐりを行っている。

 例えば、民間では温泉ソムリエという資格があり、この資格では温泉への造詣を深め、まさにワインのように個性豊かな様々な温泉を楽しんでいる。

 また、大阪観光大学では『温泉観光実践士』という独自資格を認定し、同様に温泉への造詣を深める講義を行っており、近年温泉愛好家に人気が高いという。

 このように、潜在的に温泉を巡ることに人気が出ており、そのような志向のある客をいかにファンとして取り組めるのかということである。

 また、彼らの周りには同じような趣味、趣向の仲間が居るということより、もちろん様々な地に赴いていることより厳しい目をもっているが、ファンになった場合のリピート確立は高く、口コミのスピードも高いのである。

 このように、温泉ということについて最近では新たな取り組みがなされているということに注目していきたい。

 次回はヘルスツーリズムの取り組みについて深く触れていきたい。