第417回 温泉の見直し ③
温泉に入るのは日本だけか。
もちろんそんなことはない。
温泉地は世界中にあり、韓国や台湾などには日本のような温泉地が数多く存在する。
またイギリスのバース温泉は世界遺産に認定され、お風呂という意味の英語『BATH』の語源になったくらいである。
前月号で紹介した、ドイツのバーデン・バーデンは日本語で温泉温泉という意味で、まさに温泉が街の中心になっているということである。
そのドイツでは『クアオルト』という制度がある。
これは日本語で『健康保養地』という意味で、気候や自然の力を活用し予防や治療を行う地域を認定する制度で、ドイツ国内では400か所近くも存在し、その中の一つに温泉という着目点がある。
長期滞在し、ゆっくり湯治を行い専門の医療機関もあり健康増進させるということが、国内で公式に決まっているということである。
そのドイツにならって、国の公式というわけではないが長期滞在、湯治、健康増進、医療ということに注目し、日本版クアオルトに取り組んでいる地域ヘルスツーリズムと重なってかが最近日本でも多くみられるようになってきた。
その代表定期な地域を2つほど紹介したい。
まず、最近非常に力を入れているのが山形県かみのやま温泉である。
山形県上山市では、自然の中を歩くウォーキングを題材としてクアオルトに取り組んでいる。
具体的には、上山市の中にウィーキングコースを設置し、ウォーキングによる健康増進効果に加えて、本来の温泉地を活かした湯治や食事、自然や文化などを合わせて地域として滞在型温泉健康保養地、日本版温泉クアオルトに取り組んでいる。
いわば、温泉が持つ元々の湯治の効果に注目し、長期滞在を狙い地域を上げて健康というキーワードの基一致団結しているのである。
同じ様な取組みが国内で、和歌山県田辺市で熊野古道を活用して、また大分県由布市で由布院温泉を利用してという形で行われている。
ここで、大切なことは、以前も別の観点から紹介したが、旅館やホテルという単位では作ることができない、地域、特にこのクアオルトには地域、温泉、医療と様々な結びつきが無いと行うことができないということである。
繰り返しになるが、かつてのような団体客のツアーという企画では正直今後も右肩上がりは望めない状況であるなか、新たなツアー客の獲得ということであれば、この日本版温泉クアオルトのように、その場所として、地域として魅力的な場所にならなければ今後はいけない。
そのために、地域連携は今こそ必要なのだと考える。