第419回 実践ホスピタリティの第一歩 ①
外国に輸出すべき日本のものといって挙げられるものと考えたときに、もちろん様々なものがあるが、その中に最近では『おもてなし』という答えが多い。
そのおもてなしの日本の最たる産業が宿泊業であると以前書かせていただいた。
そして、最近では、接客サービスを行う業種をホスピタリティ産業と呼び、サービスよりさらに上の段階にホスピタリティがあると位置づけ、ホスピタリティセミナーなど盛んに取り組んでいる。
ここで今一度考えてみたい。
ホスピタリティとはどのようなものなのか。
一般的に「思いやり」、「おもてなし」という意味で使わる。
また、人に不快な思いを与えないための最低限を『マナー』、主従関係があり、主の満足度を高めるために心配りをすることを『サービス』、そして、対価等を求めるのではなく、心を込めて、お客が何を望んでいるのかを真剣に向かい合い、その望む要望を超えるものを『ホスピタリティ』という。
順番から言えば、マナーの上にサービスがあり、サービスをさらに超えたところにホスピタリティがあるということなのだが、何とも抽象的で、では実際に現場で具体的に何を行えばよいのかということになる。
ホスピタリティを具体的にと考えた場合、私は、『お客様に感動を与える』ことだと定義している。
そこで、感動を与えるためにはどのようにしたらよいのかを考えれば、それがホスピタリティになるのではないかと考える。
そして、仕事ではない部分において、多くの人が実践しているのではないだろうか。
例えば、プロポーズをする時や誰かのためのお祝を催すとき、その人に喜んでもらうために様々な趣向や工夫をした経験があるのではないだろうか。
それこそがホスピタリティなのではないかと思う。
ホスピタリティは難しいようだが、実は誰もが実践で経験しているのだ。
では、それを仕事で活かすためには、ホスピタリティを実践するところに話をうつす。
現場で、様々なお客様がいる中、マニュアルだけの対応ではホスピタリティまで行き着かないのが実際である。
この人だけの為にを実践してこそのホスピタリティなのだから。
そこで、何が必要か。
それは、そのお客様個人個人の『情報』である。
いつから当館に来ているお客様なのか、どんな趣向をお持ちなのか、食べ物の好き嫌いは、人生の来歴はなどなど、様々な情報を持つことによって、より個人的で感動を与えられるホスピタリティを提供できるのだはないだろうか。
ホスピタリティを実現するための第一歩として、従業員教育もさることながら、お客様の情報をしっかり蓄積し、管理する体制を構築することが必要なのだと考える。