第427回 損益分岐点分析
先週、利益を上げる方法としては4つしかないとお話しさせていただき、先週は見えないコストということで、営業戦略をしっかり立てなければというお話をさせていただいた。
さて、企業を経営していくうえで、経営を分析し、その中の指標の一つに損益分岐点というものがある。
これは、コストを変動費と固定費に分けて考えた上で、いくら売上れば収支が一致するかを求めることであり、この損益分岐点売上以上の売上を上げれば、数字の上では利益が出るという点である。
非常に便利で使いやすいのではあるが、厳密な数字を出すことが難しいのが難点である。
そのため実際の現場では、売上は損益分岐点売上を上回ったが、赤字だったということがある、それはなぜなのか。
単純な話、大きく考えて売上は2つの側面から考える必要があるからである。
では、売上を考える上でとらえる大きな2つの側面とは何か。
1つは“単価”でありもう1つは“数量”である。
これが売上という大きなくくりで一つにされているから見えなくなってしまっているケースが多いのである。
ホテル、旅館で言えば、単価は“平均総消費単価”であり、数量は“宿泊人数”または“宿泊組数”でとらえるのが望ましいのではないだろうか。
そのため、売上を伸ばそうと考えた際に、目標数字に対しての単価設定を高くして伸ばすのか、宿泊組数を増やして伸ばすのか、2通りの方法がある。
ここで重要なことは、単価設定を高くした場合、宿泊組数の減少があるかもしれないということをあらかじめ想定し、シミュレーションの上、何人の組数は確保しなければいけないのかという目標人数を再設定すること。
そして、宿泊組数の増加し目標売上達成を目指す場合は仕入等それに係る経費の変動費部分も変化するということである。
では売上を伸ばすには単価と数量をどのようにしたらよいのかということだが、これは、各ホテル旅館の特徴・財務状況・環境によって様々であるが、どちらか一方だけでよいというわけではない。
この2つの側面からのアプローチを同時に行い、どちらの方が取り組みやすいのか、そして、どちらの方が財務に与えるインパクトが大きいのか、それを比べることによって今自社内で取り組まなければいけないこと、単価を上げるには、数量を増やすには、そして、それの結果として目指す目標数字はどこなのかが決まってくる。
最後に私も含めてではあるが、漠然とした努力はいつか疲弊してしまう。
そのため、根拠に基づいた目標、ゴールを定め、それに向かって走っていく、そして達成感を味わう。
この体験こそ、売上を伸ばすためには必要不可欠である。