第435回 経営者に最も必要なことは
経営者に最も必要なことはと考えると、ありすぎてとてものせきらないのが実際であろうし、100人いれば100通りがあってしかるべきである。
しかし、根本に備えておかなければいけないもの、素養といったところは共通するのではないだろうか。
今回は、経営者に必要なことについて触れて、本当にたくさんあるのだが、今回は2つに絞っていきたい。
1つは『数字に明るくなる』ということである。
財務諸表がしっかり読めることがマネジメントの第一歩なのである。
自社の強み弱みといったところは、感覚などで把握しているケースが多い。
しかし、実際にあった話だが、当旅館は料理が売りでという旅館があった。
確かに料理はおいしく、先週まで書いていた郷土色や旬といったポイントもしっかり押さえており、なんとも印象深い料理なのだ。
しかし、料理原価を調べると宿泊費の50%をも占めている。
当然だがこれでは、旅館経営として成立するわけもない。
大切なことは、状態、歴史等から自社の強み弱みを抽出することも必要だが、数字の上から判断するということも決して忘れてはいけない。
多くは顧問税理士等にお願いをし、説明を受けていることであろうが、基礎知識が無ければ何も理解はできず、右から左ということもあるのではないだろうか。
そして、顧問税理士等の先生も常に自社内にいるわけではないので、タイムリーな分析を行い、把握するには、経営判断できる人物、つまりは経営者が数字に明るくなければならないのである。
そして2つ目は『ジェネラリスト』になるということである。
ジェネラリストの対義語が『スペシャリスト』になるということからもわかるように、ジェネラリストとは、その分野に精通している人物ということではなく、すべての範囲を網羅的に理解・把握しているといった意味になる。
現場に置き換えて考えてみた場合、前述の会計(経理)も含まれるのだが、例えば、調理部門。
経営者自らが料理の腕を振るう必要はない。
料理は専門のスペシャリストにお任せすればいいのである。
しかし、調理部門も管理しなければ経営にならない、管理するためには技術や腕ということよりも本質を理解することが大切なのである。
このように経営者は各部門において必ずしも凄腕を発揮する、というのではなく、それぞれの部門において最高の結果を残せるように管理するということが必要であり、そのためにはすべての部門のことをしっているジェネラリストということになるのだ。
次回は事例も含めこの数字とジェネラリストということについて掘り下げていきたい。