第444回 経営者に最も必要なことは⑨

 連日、首都圏では近年例にない大雪で様々な被害が出ている。

 ある程度は冬に雪が降ることは予想できていたとしても、ここまでの大雪はまさに想定外の出来事であろう。

 数回前にリスクマネジメントとの話をさせていただいたが、いくら事前に準備していたとしても、想定外のことが起ってしまった場合は仕方ないとするしかない。

 その場合はきちんと状況を見極めたうえでの早めの判断や決断が重要になってきます。

 そこで、経営者に必要なことと題して様々なことを紹介したが、今回はその総括として商品企画、差別化を図る場合を例にとり、その判断の上で重要な判断のポイントを考えていきたい。

 まず、何かの企画をする際の判断はどの様にしたらよいのか、ここのキーワードはドラッガーでもおなじみだが、選択と集中ということである。

 例えばターゲット、インバウンドも取り組みたい、団体客も来て欲しい、夫婦層にうける旅館にしたい、ファミリー層もということでもちろんどれも大切なのだが、エネルギーや資金、資本などは限られている。

 その限られた中で、最大の効果を上げるためにはあれもこれもという風に手を伸ばすのではなく、様々な選択肢の中から、自旅館に最も適したものを選択し、そこにエネルギーや資本を集中する。

 これにより、たくさんの物を同時に行っている場合よりも効果が際立ち、それが差別化へとつながっていくのである。

 そして、企画の骨組みが決まった場合はその中身についてより具体的な検討に入るのだが、ここで良く陥りがちなこととして本質を忘れてしまうということである。

 ここで重要なことは目的をはっきり常に見定め、それに向かっていく手段を考えるということ。

 そして、目的と手段を履き違えないことである。

 今検討していることは目的なのかそれとも手段のことなのか、もし手段のことであれば、何もこの一手だけというわけではなく様々な角度から別の方法も検討すべきではないかなどである。

 最後に、企画の主旨目的、取り組み方法が決まった場合はスピード感を持って取り組むということである。

 例えば、他の周辺の旅館は同じことができないか、もしできるとするならば、どこよりも早くそれを行うこと。

 それが故に他の旅館に対し差別化を図ることができるのである。

 しかし、かといって焦ったり勢い任せにということは失敗につながるので、可能な限り判断を急ぎ、決定したらスピードを持って取り組むということである。

 ビジネスの世界では当たり前のことだが、いざ改めて考えてみると忘れがちなこと、『選択と集中』、『目的と手段』、『スピード感』この3つを最後に経営者に最も必要なこととして挙げたいと思う。