第446回 低価格戦略の失敗事例 ランチパスポートの場合
ランチパスポートというものをご存じだろうか。
これは一つの地域において、食堂やレストラン等の協力の元、その本用の特別メニューを作成し、普段は800円とか別のの値段で販売していたとしても、その本を掲示すると一律500円で食べることができる本である。
その本には、飲食店の紹介とスタンプ欄があり、本を掲示した場合のみ注文でき。
そして、本を使ってランチを食べた場合にほんのスタンプ欄にスタンプを押してもらうということであり、1件につき3回分使えるということだそうだ。
消費者にとっては、非常にありがたい話であり、また掲載店としても呼び水の効果があり、お客が来店するきっかけとして高い効果を上げている。
しかしある地域において、この本が立て続けに発行されたことに若干の問題が発生している。
店側としては、赤字覚悟で先行投資的な意味合いも含めて、この雑誌に協力し、来ていただいたお客に自分の店をアピールする呼び水として期待しているが、実際は一度来たお客は80店舗以上掲載されているので、再び自分の店を訪れてくれるまでのサイクルが非常に長く固定化しないこと、そして、赤字覚悟の投資だったが、期間が延長し、その注文しかなくなり利益が薄くなったことである。
問題は、低価格とターゲットの問題である。
まず、低価格商品についてであるがキャンペーンや、一過性の値下げ商品、これはタイミングを間違えた場合にその後の経営に大きな影響を及ぼしてします。
今回のランチパスポートにしても、企画としては呼び水の効果は大きいと言える。
しかし、時期的なものも考慮に言えた場合、2月や8月といった飲食店業界が全体的に停滞する時期に行うことは賛成であるが、繁忙期に差し掛かってしまった場合、本来の利益を生むはずだった部分に大きな影響を及ぼしてします。
これによっての機会損失は非常に大きいのである。
また、同じようにターゲットにも気を付けなければいけない。
新規企画や目新しいものを好むお客層は、一過性に過ぎず、そのお客がリピートしてくれるまでのサイクルは非常に期間を要する。
実際に、普段はサラリーマンの昼食を中心にランチ750円で営業していた店がランチパスポートに協力したところ、昼間の客は主婦層が多くなり、また500円の特別メニューしか出なくなった。
そして、このブームが終わったころには、以前の常連であったサラリーマン層は別の店に行ってしまったのである。
この例はホテル旅館業界にも同じことが言えるのである。
次回はこの例より具体的に起ったホテル旅館業界の事例を紹介していきたい。