第458回 日本文化を伝えるターゲット
訪日外国人旅行者が、昨年はじめて1,000万人を超え、インバウンド政策が実りを迎えている。
人口減少時代に突入し、現実問題として生産人口、消費人口ともに減っていくのは分かり切っているのであり、当然だがこのままでいたら国内マーケットは人口の減少とともに縮小してしまうのが数字の上の理屈である。
その部分を埋めるべく、海外からの訪日旅行者を増やすいわゆるインバウンド政策を掲げ、遅れながらようやく1,000万人を突破したのが去年である。
しかし、諸外国に目を向けて考えてみると、お隣韓国はすでに1,200万人を達成し、中国は香港と合わせると、実に約8,000万人となっており、世界一の観光大国フランスに迫る勢いを見せている。
このように世界に目を向けて考えると、日本の訪日外国人はまだまだであると同時に、伸び白はいくらでもあるように思われる。
では、マーケティングの原点に立ち返って、ターゲットを明確にしてみようと思う。
外国人といえども、国が違うわけなので、当然文化や民族性が異なり、一概に外国人を受け入れようと思ってもなかなか標準化することが難しい。
そこで昨年の訪日旅行者1,000万人の内訳を見てみると、1位は約245万人で中国であるが、2位は221万人で台湾である。
私はこの台湾に注目していきたいと思う。
釈迦に説法かも知れないが、台湾について少し触れて行きたい。
台湾は国際的には国として認められておらず、中国の一部という形になっている。
そのため、国際連合党の加盟ができず、したがって世界遺産も存在していない。
もちろん、世界遺産にすべき施設や場所は多く存在するのだが、残念な話である。
国民の多くは中国と同じ漢民族で、中心地は北部にある台北市。この北部に人口のやく7割近くが集中している。
そして、経済も独自に発展しており、GDPではアジア5位を誇っている。
ではなぜ台湾なのかと言えば、アジア諸国と歴史上で所々の問題がある中で、台湾は親日国なのである。
実際に日本政策投資銀行がアジア主要8か国で行った海外旅行調査においても、台湾人の行きたい旅行先は日本がダントツのトップであった。
それゆえか、日本の文化に対する造詣や関心が高く、日本の家、温泉、景観、和食というものに関して多くの台湾人が憧れを持っているとの調査データがある。
そして台湾の文化も歴史的背景もあって日本に非常になじみやすいものになっているのである。
日本文化をアピールするターゲットとして、少し台湾ということに触れて行きたいと考えている。