第469回 段取り八部

 一般的な話になるが、目的と手段という話が特に経営管理の立場になるとよく耳にする。

 要は、目的のために取るべき手段はどの様にしたらよいのかということであって、逆の発送より、目的の為に手段はいくらでもあるので、その2つを同じテーブルで履き違えないということである。

 最近特に、現場で、この問題を目にすることが多い気がする。

 今やろうとしていることは何のためなのかという自身の立ち位置を見失っていることが多いのではないだろうか。

 典型的な例として、会議のための会議を行い、中々前に進まず、資料作りに時間を忙殺されているケースがある。

 これはまさに本来の目的を見失っている話である。

 大切なのは、会議を行うための目的、会議で検討すべきこと、そして、それが経営にとって上向きの影響を与えることなのだが、それを見失いまさにもったいないということである。

 同じように良く目にするのが時間の問題である。

 人は基本的にそれぞれがまったくの別であるが、唯一、周りを流れる時間だけは平等なのだと倫理や、哲学の世界では言うがまさにその通りで、どんなに利益を上げる旅館も、経営が苦しいホテルも1日は24時間であり、どこにいても翌日は訪れるのである。

 しかしながら、現場ではなぜと思われるような時間の使い方をしていることが多い、特に会議である。

 日本人特有なのだろうか、比較的会議が多い国民性なのかもしれないが、何も、売上を上げる時間、例えば夕食時の時間に会議を行う必要性はなく、その時間があれば、すこしでも飲料売り上げを上げるや、付帯収入を増やすといったことに時間を費やすべきなのではないかと思う。

 なぜ、このようなことを書いたかと言えば、このような光景を何度も目にしているのだ。

 おそらく皆様もご経験があるだろう。

 もちろんすべてが無駄であるとは思わないものの、大切なことは、しっかりと自分の立ち位置を確認し、目的は何なのかを見極め、そして、時間を有効に使い最大限の効果を上げるということなのである。

 能の話であるが、風姿花伝の中に『段取り八部』という言葉が出てくる。

 この言葉のとおり、事象に関しては事前にいかに準備を行えたか、しっかりと供えられているかで80%が決まるということなのである。

 仕事とはかくあるべきであると考えている。

 それを踏まえ、次回以降、段取りつまり予測される部分そしてリスクマネジメントについて少し触れて行きたいと思う。