今回青森県の取り組みとして行った顧客満足度調査のアンケートは、いわゆる通常あるような数字を基にしたアンケートとは違い、宿泊客が自由に記述する箇所が多めになっている。
記述欄が多かったため、宿泊客の生の声を数多く回収できた。
そこで、今回はそのアンケートの取り組みより、何点かご紹介したいと思う。
たとえば、アンケートによって夏休みの宿泊客の客層がわかるようになっている。
それによると、夏のシーズンはほぼ多くの宿泊客が関東より訪れていることがわかった。
そこより、では夏のハイシーズンは関東の宿泊客向けにはどのような魅力をアピールすればいいのか、そして、どのようなサービスが喜ばれているのかを把握でき、戦略を立てることができる。
ある旅館では、事前の期待度は温泉に集中していた。
しかし、宿泊後のアンケートにはもちろん温泉のことも多くとりあがっていたが、一番満足したのは、食事、そして、接客であった。
では、なぜそれが伝わっていないのか。
それは、アンケートより、当旅館を選んだ理由の多くに、チラシやホームページとなっているが、そこに、上記のような満足度を得られた項目は載っていなかった。
そのため、自らの魅力を再認識するとともに、その魅力を認知から周知してもらえる戦略を立てることにより集客につなげるという戦略を立てていくことになる。
また、ある旅館では今までのアンケートで料理の評判がいまいち上がらず悩んでいた。地元のものを取り入れ地域色を色濃く出してみたり、バイキングの中に目の前で揚げる天ぷらを入れたりと工夫したが、評価にはつながらなかった。
そこで、今回の満足度調査のアンケートの中でわかったことは、実は料理の味やレパートリーではなかった。
アンケートの中の声からわかったことは、従業員の声掛けにあった。
せっかくの料理なのに、宿泊客は何を食べているのかわからなかったり、またせっかくの食事なのに、従業員が笑っていなかったりと問題は雰囲気にあることがわかったのだ。
そこで、従業員教育を中心に再度戦略を立てることとした。
このように、今回の青森県の取り組みである、宿泊客満足度調査のアンケートを基に、課題を抽出することができた。
そして、その戦略を基にコンサルティングを実施していく。次回では、そのコンサルティングの例を書いていきたい。
| 2013年01月24日|
昨年もこの時期に書いたが、今年度も昨年度に引き続き、青森県内にある複数のホテル・旅館に対するコンサルティングを実施している。
この事業の主旨・目的は次のとおりである。
東北新幹線が青森県内の新青森駅まで開通し、青森県内全域に多大な集客効果をもたらせている。
この効果を継続獲得するために、青森県として、県内観光産業全体の収益力向上を図るということが必要不可欠であるということである。
そのため、事業としては、青森県の複数のホテル・旅館に繁忙期にあたる7月~8月の宿泊客を対象にアンケートを実施し、それぞれのホテル・旅館に対し、顧客層や誘客要因、期待値、満足度の高いもの低いものなどを調査、そして、それを基に個別のコンサルティングの実施という流れになっている。
そして、昨年同様、今年度も県の2つの部署の合同の施策として取り組んでいる。
そのため、満足度調査をし、その改善策をコンサルティングを交え取り組んでいく一方で、経営の安定のため、内部オペレーションや経営改善といったコンサルティングも行っている。
このように違う部署通しが連携することにより、ホテル・旅館側は様々な形で複合的に享受できるシステムとなっている。
昨年も述べたが、まさに画期的な取り組みである。
具体的な方法として、今回のアンケート調査は、通常の点数評価の部分もありながら、記述する部分を多めに構成されている。
そのため、回収率が悪いのかと思いきや、予想をはるかに上回る回収が行え、しかも、記述欄もびっしり書かれているケースが多かった。
したがって、通常の評価に加え宿泊客の生の声が数多く集まってきている。
そして、そのアンケートを基にコンサルティングを実施する。
アンケートが生の声であるため、たとえば、今まで朝食の評価が夕食に比べて劣っていた旅館は、お客様の声より、何が原因なのかを具体的に知ることとなり、そこを改善するため具体的なコンサルティングを実施できる。
また、一方で、経営安定化のために仕入の管理や、経費管理なども同時に行っている。
前にも書いたが、観光を考える際に『一人勝ち』ということよりもまず、自身が勝負する場所、そこに魅力を付け、周知させ、認知してもらうことが第一歩であると考える。
その場合、昨年から引き続いている青森県の取り組みは、まさに画期的で、的を射ている取り組みと言える。
次号より、具体的なこの取り組みについてより詳しく紹介していきたい。
| 2013年01月24日|
近年、顧客満足度とともに、従業員満足度が注目されてきている。
これは従業員の会社に対する満足度を高めることが、会社の業績を上げるという効果があるとされる考え方である。
従来は顧客満足度を高めることが会社の業績を上げるもっとも有効な手段とされていた。
もちろん、それはもっとも大切なこと。
しかし、そこで、従業員のモチベーションが下がるという事態が発生し、そのことが業務自体に影響を及ぼし、ひいては顧客満足度を下げる結果につながっていった。
ごく当たり前に言われている、従業員満足度の話である。
これは、ホテル・旅館業には顕著に現れているのではないだろうか。
特に近年、ホテル・旅館業は業界全体として不況の中で、従業員の数を可能な限り減らしてきているのではないだろうか。
そのため、この従業員満足度の問題はとても難しい問題である。
しかし、同時にクリアしていかなければならない問題でもある。
従業員を減らしました、サービスの質が低下しましたでは意味が無いのである。
では、どのようにして従業員満足度をあげていけばいいのか、それには様々な方法がある。
例えば、インセンティブ(給料)のこと、労働環境の整備、福利厚生など、いくらでもある。
しかし、ここであえて提言したいのがチェンジチェアー、立場を買えて物事を考えるということである。
具体的に言えば、よく従業員教育の中でお客様の立場に立って物事を考えようということが多い。
では、同様に、社長の立場に立つということも考えられるのではないだろうか。
従業員だから関係ない、ということは本当にいえるのか。
給料、休みはしっかり欲しいといえるのか。
権利なのでもちろん言えるが、だからこそあえて提言したい、お互いの立場に立って物事を考えようと。
ホテル・旅館業の中で、『おもいやり』はもっとも大切なひとつである。
では、おもいやりとはなんなのか。
筆者はおもいやりとは、お互いがお互いのことを考えることだとも解釈している。
もちろん、一方通行ではいけないし、持っている権利はしっかり主張、行使すべき場面もある。
しかし、従業員も社長や上司の立場に立って考え、社長や上司も従業員や部下の立場に立って考える。
そうした双方向のベクトルが働くことこそが、おもいやりなのだと、そして、それを実践するのが観光業に携わるものの使命だと考える。
| 2013年01月24日|
セカンドオピニオンという方法がある。
これは、より良い決断をするために、当事者以外の専門的な知識を持った第三者に意見や診断を求めることで、多くは医療の分野において近年見受けられるようになってきた。
担当医の診断だけではなく、別の医者の見解・診断も聞くということである。
これにより、『自分は適切な診断・治療をうけているのか』『他に治療方法は無いのか』などを多角的に検証できることができ、自分が納得して治療を受けることができる。
そして、最近ではこの方法が医療部門以外の場面でも多く見られるようになってきた。
特に見られるのが、税理士や弁護士といった顧問先をもついわゆる『士業』の分野においてである。
たとえば、いつもお願いしている税理士先生がいるが、他の税理士とサービスは違うのだろうか。
もしかしたら、ほかの税理士先生はもっと様々なアドバイスや助言をくれるのかもしれない。
などといった場合である。
特に税理士などは古くからのお付き合いのところが多くよっぽどでもない限りは変更は無いため、ほかと比べる機会が少なかったと言える。
このように、実は今まで当たりまえだと思っていたことが、じつはほかと比べてみたら、ほかの意見を聞いてみたらという場面が多くある。
セカンドオピニオンの普及によって広く士業の分野にまで浸透し身近になっている。
このセカンドオピニオンをスムーズに受けるためにはどのようにすればよいのか。
これも実は『三本の矢』の方法でできることが多い。
なぜなら、同業が集まれば、自然とそこに集まる情報も集中してくる。
もちろん、営利を追求する以上、他社との差別化は図りたいところなのだが、その差別化を各施設ごとに実施していくのではなく、地域、あるいは都道府県単位で実施することを提唱していきたい。
まずは地域で活性化することにより、そこの観光地の魅力をアピールし、選んでもらう。そこからがスタートなのだと考える。
まず、地域全体を活性化することが第一である。
宿泊客の立場に立って考えると、どんなにいい旅館でも、正直活気が無い地域には行きづらい。
繰り返しになるが、まずは地域全体を活性化する。
そのために、情報をたくさん集める必要があり、そのためには、色々な角度から物事を見る必要、そして、納得する情報を集めるために、セカンドオピニオンを考える方法も必要だと考えられる。
| 2013年01月24日|
力を合わせて!
と提唱することが多い中、ボランティアの世界ではよく見かけるが、実際の経営の現場だとなかなか見られない。
それは、お互いがライバル関係にあり、昔風に言えば商売敵なのだからであろう。
しかし、力を合わせることにより、お互いにとってメリットの多いことはたくさんある。
その中のいくつかを紹介し、力を合わせることを提唱していきたい。
その1、仕入についてである。
例えば、電球とかの消耗品についてである。
ホテル・旅館ではたくさんの電球を使用する。
その電球の交換個数も年間を通して考えるとなかなかの費用がかかる。
ましてや最近のLED電球などは、耐用年数は今までの何倍もの時間に対応しているが、1つの単価が高いためたくさんを仕入れるとなると初期投資の額は大きな額になってしまう。
しかし、いくつかのホテル・旅館で共同で仕入れを行うことにより数が多いため単価自体の値引きも進む。
と同時に、仕入場所を決めておき、その場所に書く施設で取りに行くような形にすれば送料も1回で済みさらにコスト削減ができるのではないだろうか。
さらに、数施設のホテル・旅館が行うことにより、様々な品物について最安値に統一できるというメリットもある。
また、食材に関しても同じようなことが言える。
食事、メインとなるものはそれぞれのホテル・旅館で差別化が必要だが、地域の名物料理や必ず出されるものなどはホテル・旅館によって、味付け、盛り付け等に違いはあるものの食材は同じようなものを仕入れている。
そこで、差別化以前の同じ食材の仕入れの場合は、各ホテル・旅館で個々に仕入れるのではなく、地域地域でまとめて仕入れる。
それにより、やはりコストの大幅な見直しができる可能性がある。
消耗品や事務用品なども同じ発想でコストを下げることができるのではないだろうか。
経営である以上、利益を生まなければいけない。
そのためには、売り上げを伸ばすか、支出を抑えるかの2つしかないのである。
昨今のこの不景気の中、一人勝ちできれば良いのだが、そうではなく、手をつなぐ場面は手をつなぎ、戦うところは戦う。
衣食足りて礼節を知るように、まずはお互いに力をつけスタート地点をそろえ戦うのが良いのではないだろうか。
そのために、時には手を携えて。
| 2012年11月12日|