福井県鯖江市の市役所の中にはJK課というものがある。
これはどのような課なのか、そもそもJKとはどういう意味なのかということであるが、JKとは『J(女子)K(高校生)』と言うことだそうだ。
課の仕事としては、行政サービスや市のイベント等に関して、女子高生の意見・発想を取り入れコラボレーションさせるというものであり、これにより、自分たちの待ちは自分たちで作るというコンセプトの基地元愛を高め、また外に対して鯖江市をアピールする狙いがあると言う。
実際に女子高生の意見を取り入れ、市立図書館の本の検索をスマートフォンのアプリを使って行うサービスを実施しているという。
さて、この話を耳にして思うことは、何もそれぞれのホテル旅館が女子高生の意見を取り入れるべきであると言う話ではない。
大切なことは色んな角度からからの意見を聞くと言うことである。
そして、それにある程度決定権と裁量を任せると言うことである。
現に、この鯖江市のような取り組みは今までもあったように思われる。
しかし、今までの話は、意見を聞くと言うことに留まっており、実際に女子高生が何か物事をなしとげるということには至っていないものが多い。
それを鯖江市はもちろん女子高生だけではないが、有識者等も加え実際に生花を出せる形にしている。
ここにプロジェクト企画のポイントがあるのである。
さて、夏を向かえ、ホテル・旅館ではもっと忙しい繁忙期を迎えている。
そのために様々な企画を用意しているホテル・旅館も多いのではないだろうか。
しかし、そのイベントははたしてターゲットに合致しているのであろうかと思われる企画も中には様々見受けられる。
例えば、坊有名歌手のディナーショーはわざわざこの時期にやら無くても良いなどである。
最近、様々なところで思うことわざが一つある。
『船頭多くして、船山に登る』である。
これは先導がたくさんいれば船でさえ山にも登れるということわざではない。
指示する人が多く、本来の目的を見失い、迷走してしまうという意味のことわざである。
これを自分に置き換えて考えてみてはいかがであろうか。
もちろん、イベント企画自体に無理がある場合は考慮しなければいけないのだが、決定権を持っている人間の独りよがりの企画、あるいは様々な意見より迷走した企画になっていないだろうか。
人に任せる、他人を信頼するということは非常に難しいことではあるが、任せる器量、任される責任感・使命感。
これにより上手に歯車を回すこと。
まさに鯖江市の取り組みから改めて考えさせられた思いがする。
| 2014年08月08日|
某飲料メーカーのお茶のCMに可愛い女性タレントと一緒に各地のゆるきゃらが出演している。
いまやゆるきゃらはいない地域はないんじゃないかと思われるくらい様々なキャラクターが地方には存在し、それらを一堂に集め人気投票を行うゆるキャラサミットなるものが大変なにぎわいを見せている。
キャラクターグッツなども含めその経済効果は1,000億円にもなるとも言われている。
また、B級グルメと呼ばれる日常的に食される庶民的なご当地料理も同様にブームが起こっている。
こちらもB-1グランプリなる人気投票が行われ、富士宮焼きそばのように広く一般的に知られる人気料理も誕生している。
ここで注目したいことは、ゆるキャラの火付け役とされる彦根城のキャラクターひこにゃんが登場したのが2006年、初めて青森で行われたB-1グランプリも2006年ということで、いずれにしてもまだ10年もたっていないものなのである。
ここにひとつの今後の観光のポイントがある。
観光によって市町村外、あるいは県外からの集客を考えた場合、どうしても観光資源に頼ってしまう。
それは歴史的な背景や建造物であったり、自然遺産であったり。
しかし、上記のような話の場合は元々その場にあった観光資源ではないのである。
つまり、観光資源は、掘り起こすこと、そして産みだすことができるのである。
まさに、B級グルメは掘り起こしたもの、ゆるキャラは産みだしたものでは無いだろうか。
なので、大切なことはまず自分たちの地域を今一度見つめなおすことではないだろうか、そして、地域のことに関して積極的に取り組めるような雰囲気を作り一致団結して取り組む、問題意識を共有すること。
それが観光はもちろんのこと今後の地域経済活性化のはじめの一歩であると思われる。
話は変わるのだが、最近『仕事はチームで行う』といった話をよく耳にする。
チームで取り組むことにより様々な角度からの方向、可能性、効率化など相乗効果を引き出すことが狙いである。
私個人としても素晴らしいと思いこの方法を実践することが大切であると考えている。
さて、このチームの中の一つの形式が地域コミュニティなのではないだろうか。
昔から日本には隣近所との付き合いや自治会といった制度があり、今でこそ稀薄になってきているとは聞くが、それでも今でも活動している。
観光も含め、地域を盛り上げること、これこそ活性化につながる第一歩ではないだろうか。
| 2014年07月31日|
国内消費が飽和状態、そして、少子高齢化により人口が減っていく中、マクロで見た場合の消費傾向は、決して前途洋洋というわけにはなかなかいかない。
そこで、消費を別の場所に求める、いわゆる外貨を獲得するということがインバウンドの狙いの一つなのだが、これは地方自治体単位でも同じことが言えるのではないかと考えている。
例えば、市町村の商店街とかを中心に考えてみた場合、商店街を活性化させるためにということで、各商店街で様々な工夫を行っているが、問題はその周辺の消費人口である。
例えば、人口の多い東京の商店と、人口の少ない商店の一日の買い物客には大きな差があり、当然得られる収入も変わってくる。
そのため、各市町村や地方自治体では人口の流出を抑え、流入を増やすべく行政サービスを展開したりとアピールを行っているが、なかなかすぐに効果が出るものでは無いのが正直なところである。
長期的な視点に立てばこそ、人口の増加より消費の増加を狙うということで問題はないのであるが、短期的な視点に立つとそのように悠長に構えてられないという意見が多い。
そこで、短期的に消費を増やすためには、どうすればよいか、それは、消費人口以外の消費者に消費してもらうことである。
極端な話、人口の多い地域の人がわざわざ地方で消費をする流れを作ればよいのである。
そのための施策として最も有効なことが『観光』ではないだろうか。
観光に力を入れ、地元に住んでいる人以外の人を流入する。
人口は増えないかもしれないが、その観光で来た人たちがそこで、物を買ったり、食事をしたり、交通機関を利用したりと様々な場面で消費を行う。
それにより地域にお金の流れができるのである。
一時的なものかもしれないが、観光に力を入れることにより、地方経済を活性化させるモデルができるのではないだろうか。
だからこそ、声を大にして言いたいことは、『観光は地域から』である。
個々のホテル・旅館がどんなに努力をしても、効果を考えた場合、より大きな力で観光に関しての努力をすること、そのためには、地元観光協会が、もっと言えば地方自治体が力を入れてこその観光事業である。
アベノミクスの影響の成果はさておき、お金が回りだすであろうこれからの時代、いかに収益を上げるか、それは観光という切り口にいかに早く取り組むかではないだろうか。
そして、それが結果として、地域経済の発展、雇用の創出につながっていくのだと考えている。
| 2014年07月23日|
アメリカの旅行雑誌「トラベル+レジャー」とう雑誌が、7月2日に発表した今年の世界の人気観光都市ランキングで、日本の京都市が初めて1位になった。
同調査は読者投票によって決定し、ちなみに2位はアメリカのチャールストン、3位はイタリアのフィレンツェということだった。
京都は一昨年が9位、昨年が5位という結果で、3年越しで首位を奪還したという形である。
ランキングは、風景、文化・芸術、食などの項目の総合評価で決まる。
京都市の話によれば、食、文化の評価が高かったとされている。
和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたことも大きく影響していると考えられる。
こればかりではなく、東京オリンピックやラグビーのワールドカップ、富岡製紙工場の世界遺産登録など、日本開催のイベントもあってか世界中から日本が注目されているのは間違えないのである。
観光庁では、昨年訪日外国人観光客が1000万人を突破し、この勢いで2020年までに2000万人を超えたいと大きな目標を掲げている。
しかし、少し目線をずらして考えてみたい。
日本政策投資銀行の「アジア8地域・法人外国人旅行者意識調査(平成25年度版」やトリップアドバイザーの「世界の人気観光都市TOP25」をみても、挙げられている都市は東京、大阪、京都、北海道(札幌)ばかりである。
ここに日本のインバウンドの大きな問題があるのではないだろうか。
東京、大阪、京都はいずれも大都市で、成田から関西空港を新幹線で結ぶ、別名「ゴールデンルート」沿いである。
もちろんこれらの地は交通の便も良く新幹線や富士山も堪能できるとあって人気が高いのは事実である。
しかし、前回の台湾の例ではないが、日本の古き町並みや和風温泉旅館を希望している外国人は多いのである。
それに対し、現状ではこたえきれていないという問題がある。
これは個々の旅館やホテルが大きく動いても限界があるのである。
そのため、地域、あるいは都道府県単位で取り組まなければいけない問題である。
2020年までに訪日外国人観光客を現在の2倍にするという大きな目標を掲げるならば、鉄道等交通網の整備もさることながら、大都市圏だけではない場所に、外国人観光客がいかに足を運ぶか、そして、大都市圏以外の観光地の魅力をいかに外国に周知し、認知させていくかということが最重要課題と位置づけられるのではないだろうか。
| 2014年07月11日|
サッカーワールドカップの折、野球の話で恐縮だがWBC(ワールドベースボールクラシック)の際、東京ドームで行われた日本対台湾戦。
台湾のエース王建民の前に日本は延長10回になんとか勝利を収めた試合。
非常に盛り上がった試合だったので記憶している方も多いのかもしれない。
しかし、あの試合にはもっと野球以外のドラマがたくさんあったのだ。
東日本大震災、多くの被害が発生する中、一番に義援金を出してくれたのが台湾だった。
その後も物資など様々な援助をしてくれたのだが、正式に国ではないという見識より日本政府は台湾に対しての公式な御礼を行えないでいた。
それを知った人たちがSNSで呼びかけ、謝謝台湾キャンペーンを行い、台湾大手新聞に全面広告出すなどして感謝の意を伝えた。
そして、あのWBCの日。
日本側には『謝謝台湾!加油!』と書かれたプラカードを持っている日本人の応援客がおり、方や台湾側にも『日本もガンバレ!』とかかれたプラカードを持っている人がいた。
スポーツの世界で勝負事の世界でこれほど美しい光景は稀だと言える。
そして、極めつけは試合終了後、延長10回の末に敗れてしまった台湾選手は、マウンドに集まり360°円になり深々と日本への感謝の気持ちでお辞儀をしたのだ。
前回より、日本文化、そして台湾ということを書かせていただいている。
では、なぜ台湾なのかということであるが、上記のエピソードを見てもわかるように、単純ではあるが、台湾は日本のことを好意的にとらえているのである。
この点より考えるに、台湾人は日本に対して悪い感情を持っている人が少ないがゆえ、日本の様々なことに興味があるのである。
よく営業でドアを開けてもらうまでが大変だという話があるが、インバウンドを行う中で台湾はドアを開けてくれやすい状況にあるのである。
実際に日本政策投資銀行の資料によると、海外旅行に行きたい国というアンケートにおいて、約68%もの人が日本と答えており、圧倒的な1位である。
そして、何よりも日本で行ってみたい(経験したい)ことという問いに関して、1位日本の街並み、2位温泉、3位寺社仏閣、4位和風旅館、5位桜となっており、イメージとして大都市にということよりも、のんびりとしたどこか懐かしい日本のイメージが強いのではないだろうか。
言い換えれば、台湾人が望む日本の旅行とは、昔ながらの町並みが残るような街の和風旅館に宿泊し、のんびり温泉につかりながら、和食を食べるということになるのではないだろうか。
そう考えると、非常に日本人に感覚が近く、我々日本人が温泉旅館に求めていることと非常に近い気がする。
| 2014年07月04日|