前回(第442回)で「ゆでガエル理論」の進化版を披露した。変化への見極めが大切だが、もっと大切なことは、それを行動に移し、実践することであるという考えである。
そんなことわかっているけど、やっぱり行動できない…今の経営者にはこんな「頭でっかち病」が蔓延している。
なぜ行動できないのか…今回はそんなテーマで考察してみた。
1. 面倒くさい:1分だけやってみる。(一度手をつければ、なかなかやめられないもの) 仕組みをつくって効率化する。
2. やる気が出ない/したいことがない:「やる気があるから行動できる」という認識は誤り。「やる気は行動をはじめたあとに出てくる」ものだと心得る。やりたいことも、いろいろやってみなきゃ見つからない。 疲れすぎてやる気が出ないときは心身の調子を整える。
3. 何が正解なのかわからない/したいことが多すぎる:手当たり次第やってみて、やりたいことをしぼりこんでいく。
4. やり方がわからない:情報収集をする。まず試しに実行してみて何が必要か分かったら、必要なだけの量の情報を集める。(集めすぎない) 人に教えてもらう。誰かと一緒にやる。
5. 難しすぎる:ハードルを下げる。課題を分割して取り組みやすい大きさにする。
6. 必要な道具や材料が足りていない:本当にそれが必要なのかもう1度よく考えて、必要であればすぐに道具や材料を揃える。
7. 悪い習慣が邪魔をしている:本来、やらなければいけないことをしているはずの時間に、自分が何をやっているのかを知る。「ライバル行動」を見つけて封印する。
例えば、あるある「時間を無駄にする行動」がないか、同じ書類やガラクタを何度もいじりまわす、付合いが大事と本来不要な集いに参加する、優柔不断で迷ってばかり、する必要のないことや、他人に任せられることをしてしまう、目的もなくパソコンや携帯をだらだらいじる、 恐怖心が邪魔をしている等々検証すべき事項はたくさんあるはずだ。
行動の邪魔をするのは「恐怖」である。
恐怖とはパーフェクトな状況が整わない限り行動も決断も延期状態になる「不完全の恐怖」、知らないとかやったことがないという「未知の恐怖」、後で何を言われるか心配だという「批判の恐怖」、間違ったらどうしようという「ミスをする恐怖」、断られたらどうしようという「拒絶される恐怖」、逆に「成功したらそれをいかに維持したらいいかという「成功の恐怖」等々、大きすぎる責任への恐怖が全ての行動を阻害している。
これらすべての阻害要因を払拭する勇気、行動しないための不利益こそ、経営者の最大責任である事再認識し、勇気を出し、勢いをつけて一歩踏み出してみることである。
| 2014年02月10日|
「ゆでガエル理論」というものがある。
『2匹のカエルを用意し、一方は熱湯に入れ、もう一方は緩やかに昇温する冷水に入れる。すると、前者は直ちに飛び跳ね脱出・生存するのに対し、後者は水温の上昇を知覚できずに死亡する』、少しずつ変化する環境に、徐々に適応しつつ、いつしかその環境に浸り、変化の本質を見ることができなくなったカエル。
あっという間に変化のパワーについていけず、何も対応できないまま滅亡の道を歩む。
心理学者や経済学者、経営コンサルタントなどが、著作で「ゆでガエル」の話を比喩として使用することがある。
ビジネス環境の変化に対応する事の重要性、困難性を指摘するために用いられる警句のひとつだろう。
が、このたとえ話、自然科学上の実験結果であるかのように語られているが、実際には、カエルは温度が上がるほど激しく逃げようとするため疑似科学的な作り話が広まったものである。
どうも全くの作り話のようである。
しかし、私たちはこのゆで上がったカエルを笑うことはできないはずである。
およそ人間は環境適応能力を持つがゆえに、暫時的な変化は万一それが致命的なものであっても、受け入れてしまう傾向が見られる。
例えば業績悪化が危機的レベルに迫りつつあるにもかかわらず、低すぎる営業目標達成を祝す経営幹部や、敗色濃厚にもかかわらず、なお好戦的な軍上層部など、身近にその例を見ることは多い。
ビジネス社会に生きる私たちも、慣れた環境に浸りすぎて変化に気づかず、変化だと察知できた時点では遅すぎて手が打てなくなってしまうことが、良くある事かも知れない。
変化を見抜く力、その変化への対応を実践する力、経営者にとって必要条件の資質の一つと言って良い。
でも、少し冷静に考えると、最近はIT化が進展し、情報は世の中に溢れている。
変化をしている…ということは、昔に比べて容易に分るようになってきた。
情報はその気になれば、いつでも簡単に収集することが可能な時代となった。
経営者自身の教養、学歴等も昔に比べ比較にならないほど高度化している。
つまり「分っているけど、行動できない」状態の、頭でっかちの経営者がはびこっている。
だからこの「ゆでガエル理論」は、環境変化への対応の不備から、さらに一歩先の警鐘を鳴らしていると理解すべきと考える。
つまり、今どきの経営者に絶対必要なことは、
いかに変化を見極めるか!というテーマではなく、いかに行動し、実践するか、ということに他ならない。
行動、実践こそ経営者の最大の使命である。
| 2014年01月31日|
乾燥する冬になると、連日ノロウィルスやインフルエンザのニュースが報道されるようになる。
サービス業だけではないが、これらの事象が発生してしまうと経営的に大きな痛手を負うことは言うまでもない。
しかしながら、いつ起こるかわからず、実際にしっかり対策を行っていたとしても起ってしまうこともある。
天災も含め、営業とは直接関係ないことによって、経営自体を圧迫してしまう可能性のある事象。
これらに対ししっかりと見極め、対策をたてること。
これも大切なリスクマネジメントである。
広義から言えば、倒産するリスクを回避することがリスクマネジメントなのだが、営業ではない部分について少し触れていきたい。
リスクマネジメントは大きく2つのポイントがある。
1つは発生を防ぐこと。
そしてもう1つは発生後の対処、被害を最小限に食い止めるかという方法である。
発生を事前に防ぐとことは、日常の業務や安全点検などで食い止めることができる。
例えば、運送業界のように法律で決まっているような業種もある。
我々ホテル・旅館業も同様である。
上記のようなノロウィルス感染が起ってしまえば、営業停止やその後のキャンセル、風評被害などで、大きな損失を被ることになる。
そのために、しっかりとコストをかけてでも消毒の徹底等の対策を行い、マニュアル作成し徹底させなければならないのである。
しかし、いくら徹底して対策を立ててしまっても天災などが起ってしまった場合どうしようもできないのも現実問題としてある。
その場合は保険という手段に頼ることになる。
保険はもちろん費用が発生するため、経営状況の厳しい今日としてはどうしても敬遠されがちであることも事実だが、何か起こってしまった場合、経済的に援助されるということも考えると、倒産リスクを回避するためには絶対必要なのである。
よく言われていることだが、必要以上に掛けることはないので、しっかりと適材で保険を掛ける必要があり、それは、時代とともに変わるため、保険は常に見直しを必要とするのである。
会社はゴーイングコンサーンだということを考えた場合、いや、もし会社が倒産し、自分も含め従業員みんなが生活に困窮したら、そう考えた場合、倒産リスクを回避するということは社会的責任上においてまずはじめに考えなければいけないことなのである。
あの時こうしていれば良かったと思う前に、自社のリスクマネジメントを行ってみる、これも経営者の必然である。
| 2014年01月24日|
先日、成人式のニュースをみていて、ふと思ったのだが、当たり前だが、全員がすでに平成生まれなのである。
実はこの世代の平成生まれの層には今までとちょっと違った特徴がある。
団塊の世代、彼らの時代は高度経済成長という時代を経験し、戦後の日本が発展し豊かになっていく時代を経験している。
そして、その次の世代の団塊jrの世代は、80年代のいわゆるバブルという好景気を経験している。
ところが、今の平成の世代は、グローバルスタンダードの名のもと、不合理な欧米化が標準化されるゆとり教育の時代であり、そして、何より経済的に特徴なのが生まれた頃より平成の大不況なのである。
つまり、豊かな時代の経験がなく、幼い時より、経済のニュースでは暗い話が多く、それでいて、生活に必要なものや余暇の選択肢などは非常に多く趣味嗜好が幅広い。
そのため他のターゲット層より財布のひもが固く、レジャーに関しても決して高級志向ではない。
そのため、旅行に関しても積極的では無い世代である。
しかしかといって、『うちは高齢層や夫婦層がターゲットだから関係ない』とは言えないのである。
いずれは、この世代が消費の中心になってくるからである。
では、この世代がこれから旅行に対し積極的になっていくにはどのようにしたらよいのであろうか。
そのためのキーワードとして考えられるのは『体験』である。
欲しいものはと新成人にアンケートそして、新成人の親にもアンケートをしたところ、新成人の1位はパソコン、以下テレビ、スマートフォンとデジタル物が並び、4位には安定した生活となんとも世代らしい結果になった。
では親世代はというと、1位は国内旅行、2位安定した生活、3位海外旅行という結果である。
つまり、親世代は旅行に行きたいのである。
さて、この結果を踏まえホテル旅館ではどのように対応すべきか。
例えば、『ままも』という言葉がある。
これは『ママも一緒に』という今の世代が親と友達のように接し、一緒に出掛けたりすることから誕生した造語なのだが、これより考えるに、『一緒』ということがキーポイントとなってくるであろう。
要するに、現在20代の世代とその親世代とが一緒に旅行できるようなプラン、商品を作ることが必要なのではないだろうか。
孫子の兵法の中に、『敵を知り、己を知れば百戦して危うからず』という言葉がある。
勝負する前には、まず相手を知ることというのは前にお話しした。
そのために、ターゲットを知り、その動向や特徴を調査し、商品開発を行う。
10年では変わらないかもしれないが、今後の消費傾向を考えた場合、今の新世代を今のうちからしっかり取り込むよう対策を考える。
これが、明日の発展の第一歩ではないだろうか。と、成人式のニュースを見て感じた。
| 2014年01月20日|
消費税率引き上げの問題が間近に迫っており、マスコミでもいろいろな形で取り上げられている。
中には自動販売機の缶コーヒーの値段などで論議している番組もある。
もちろん宿泊業界でも、料金の表記を内税にするか税抜表示にするか等議論が行われているが、経営者にとって消費税はもっとインパクトが大きい。
消費税の場合、当たり前だが利益が黒字だろうが赤字だろうが現状で概算で売上金額の5%という計算になる。
仮に売上1億円の企業の場合、現状では500万の消費税を納めているのだが、来年度には800万、ゆくゆくは1000万円となる。
500万円と1000万円では受ける印象も、与えられるインパクトも大きく違う。
もちろん、それは価格に反映されるという側面も持つのだが、やはりこの増税にはいろいろな苦労を伴うことになるだろう。
さて、ここで言いたいことは、消費税増税についてではなく、経営者と大衆の感覚にはずれがあるということである。
それは、状況や立場が違えば価値観が違ってくるということなのである。
従業員との感覚はどうなのか。
はっきり言えば、経営者感覚と従業員感覚には大きな乖離がある。
それは、立場が違うため当然であると言える。
そのため、労務管理を行う上で気を付けなければいけないことは、『従業員感覚』ということである。
特にかつての滅私奉公の時代と変わっている今は従業員の中に会社への忠誠心を高めることが非常に難しいと言える。
では、どのようにしたらうまくいくのであろうか。
それは抽象的な物言いをすれば、経営者、従業員それぞれが相手の立場に立って考え、相手を思いやることなのである。
しかし、実際にそれを現場で行うことは難しい。
ただ、労務管理がしっかりしているというか、雰囲気がいいなと感じる旅館には共通点がある。
それは、従業員がみな積極的であり、決して義務的でない場所である。
そして、そのような雰囲気を持っている旅館では大きく2つのパターンがあるように感じている。
1つは、経営者が現場に立って率先している。
もう1つは、逆に従業員1人1人に柔軟な権限を与え責任を与えているということである。
どちらも非常に難しいのであるが、いずれにせよどっしり構え懐の深さというものが必要になる。
最近では本屋で従業員満足度は顧客満足度に反映されると謳い、従業員満足度を上げるためにという様々な趣向の本を良く見かける。
しかし、日本ではそのようなことは昔からやっているのである。
従業員の気持ちを考え、従業員に背中を見せ、従業員を信じる。
そんな当たり前に昔言われていたのことこそ、今の労務管理に必要なのではないだろうか。
| 2014年01月14日|