H29年度配偶者控除の見直し!

 

夫の年収制限新設へ 増税世帯反発も

毎日新聞2016年11月16日

政府・与党が配偶者控除の年収上限を130万円か150万円に引き上げる方向で調整に入った。「女性の就労拡大」を掲げるが、引き上げた上限が新たな「壁」となる恐れもある。税収減を防ぐため、夫の年収がそれぞれ1320万円、1120万円を超える場合は配偶者控除が受けられなくなるしくみで、増税となる世帯の反発も予想される。

 

 政府・与党が検討する2案は、社会保険料の支払い負担が発生する基準を考慮したものだ。年収上限を130万円へ引き上げる案は、妻本人に社会保険料の支払い負担が生じる基準とそろえた形。ただ、社会保険料を支払うようになれば手取りは減る。150万円への引き上げ案は、妻が就労時間をさらに増やして手取りの減少分を補えるよう考慮したとみられる。

 共働き世帯のパートで働く妻の年収は約6割が100万円未満にとどまっており、夫の税負担が増えないよう「103万円の壁」を意識して働くケースが多いとみられる。政府・与党は上限引き上げでパートの妻らが就労調整をせずに働けるようにしたい考えだ。

 だが、フルタイムで働く妻がいる世帯は引き続き控除が受けられず、「パート減税に過ぎない」との批判もある。また、年収上限を意識する傾向が変わらなければ、新たな上限が「壁」になる可能性が高い。企業の配偶者手当の多くが「妻の年収103万円以下」を支給基準にしていることもあり、「税制だけで働き方を変えるのは難しい」(政府関係者)との意見は根強い。

 現在は夫の年収にかかわらず配偶者控除が受けられるが、妻の年収上限引き上げで控除対象者が増えれば税収が減ってしまうため、夫の年収が一定額を超える場合は制度の対象外とする。増税世帯の反発は必至とみられ、政府・与党は世論を見極めながら検討を進める方針だ。【横山三加子】

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http://mainichi.jp/articles/20161116/k00/00m/020/146000c

 

家族構成に応じ負担減 時代の変化で見直しも

 記者 所得税の配偶者控除(はいぐうしゃこうじょ)ですね。女性の社会進出に影響を与えているとされ、働き方改革の一環として政府・与党で見直しの議論が進められています。

 

 Q そもそも控除ってどんなものなの?

 A 税金を計算する際に、家族構成などに応じて収入から一定の金額を差し引いて、税金の負担を軽くする仕組みです。さまざまな控除を適用して、残った金額が「課税所得」となり、それに決まった税率を掛けて所得税の金額が決まります。控除が大きいほど税金の額は少なくなり、控除額が収入以上になると、所得税はゼロになります。

 

 Q どうして、そんな制度があるの?

 A 同じ収入があったとしても、養う家族が多ければ、必要な生活費も多くなるなど、それぞれの納税者の個人的な事情によって、どれだけ税金を支払う余裕があるかは差があります。そこで、家族構成などに応じて控除を行うことで調整を図り、だれもが最低限の生活を送れるようにするのが主な狙いです。

 

 Q 具体的にはどんな控除があるの?

 A 一般的なサラリーマンを例にすると、企業などから給料をもらっている人を対象とした「給与所得控除」が適用されます。スーツ代など仕事に必要な経費がかかるとみなして、一定額を差し引くものです。年収が162・5万円以下の場合は4割に相当する65万円、年収1200万円超の場合は2割弱の230万円というように、年収が多いほど控除の割合が減る仕組みです。また、すべての納税者に適用される「基礎(きそ)控除」は、収入から一律38万円を差し引きます。

 

 Q 家族構成を反映する控除はどんなもの?

 A 代表的なものが配偶者控除で、納税者に専業主婦やパートで働く年収103万円以下の配偶者がいる場合、38万円を控除します。16歳以上19歳未満の高校生がいる世帯などに適用される「扶養(ふよう)控除」(38万円)や、19歳以上23歳未満の大学生などがいる場合の「特定扶養控除」(63万円)などもあります。このほか、支払った社会保険料や医療費の一部を差し引くことができる控除もあります。

 

 Q どうして見直しが必要になっているの?

 A 時代の変化とともに、家族のあり方なども変わってきているからです。配偶者控除を巡っては、控除の対象から外されないために、妻が年収103万円を超えないように働く時間を調整するケースが多く、女性の社会進出を妨げる「103万円の壁」と批判されています。専業主婦らの「内助の功(ないじょ こう)」に報いるのが控除の狙いとされていますが、高度成長期の「夫が働き、妻が家庭を守る」という家族のあり方は大きく変わったため、見直し論が高まりました。

 

 Q ほかにも見直すことがあるのかな?

 A 非正規雇用(ひせいきこよう)の増加などで格差が拡大していることなどを背景に、高所得者の税負担を高める一方で、低所得者の負担を低減する控除も検討されています。具体的には、所得税を算出した後に一定額を差し引く「税額控除」の導入などです。支払う税金が少ない低所得者ほど、控除のメリットが大きくなるためです。

 

 Q 近いうちに制度が大きく変わりそうだね。

 A ところが、そうなりそうにはありません。国の財政は悪化しており、税収を減らさないように制度を見直すためには、だれかの税負担を重くしなければならず、反発が出るためです。配偶者控除については、来年度の税制改正に向けて廃止する案が浮上しましたが、年明けの衆院解散(しゅういんかいさん)も視野に入れる与党内には慎重論が強く、廃止を先送りすることになりました。現在は配偶者控除の適用範囲を拡大する方向で政府・与党内で検討が進められていますが、それでも税収を維持するためには高所得者らの負担を増やす必要があり、議論は難航しそうです。

 ■Background

 2017年度税制改正議論で、所得税の配偶者控除の見直しが焦点となっている。政府・与党は当初、配偶者控除を廃止して共働き世帯を広く支援する「夫婦控除」の創設を目指したが、大幅な税収減が避けられないことなどから、方針を転換。現行の配偶者控除を拡大する方向で検討している。与党の税制調査会で議論し、年末までに見直すかどうかを含めて結論を出す見通しだ。

 

http://mainichi.jp/articles/20161030/ddm/008/070/060000c

2016年11月17日IKG(~飯島経営グループ)
カテゴリー:税理士法人IKG


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