印紙税、課税文書の可否は実質的な意味に基づき判断

2018年04月13日

 印紙税は、各種の契約書や領収書、通帳などのような経済取引に際して作成される文書にかかる税金である。税額は、印紙税のかかる文書の種類や記載金額に応じて定められている税率によって算定する。文書の内容判断に当たっては、その名称・呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号などの実質的な意味を汲み取って行う必要がある。

 

 消費税法基本通達第3条では、「文書が課税文書に該当するかどうかは、文書の全体を一つとして判断するのみでなく、その文書に記載されている個々の内容についても判断するものとし、(中略)その記載文言の実質的な意義に基づいて判断する。記載文言の実質的な意義の判断は、その文書に記載又は表示されている文言、符号を基として、その文言、当事者間における了解等を加味し、総合的に行うものとする」と定めている。

 例えば、文書に取引金額そのものの記載はないものの、文書に記載されている単価、数量、記号などにより、当事者間において取引金額が計算できる場合は、それを記載金額とする。また、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば、その文書は、売上金の受領書(第17号の1文書)に該当することになる。

 

 そうした意味では、ちょっとした工夫で節税となる場合がある。例えば、ホームページの保守契約を結んだ際に、契約書に「月額5万円」と1ヵ月あたりの保守・メンテナンス料のみを記載した場合、これは「継続的取引の基本となる契約書」(第7号文書)に該当し4000円の印紙税が必要となる。これは、期間の記載がないことから、合計金額を計算することができないためだ。

 

 ところが、この「月額5万円」に「契約期間1年」と書き加えるだけで、この文書は実質的に合計の契約金額が確定するため、「請負に関する契約書」(第2号文書)に該当し、記載された金額が60万円(5万円×12ヵ月)ということで、印紙税は同区分の「1万円以上100万円以下」の税率200円で済むことになる。説例では3800円の節税でしかないが、印紙税が必要な文書は多い。安易な記載に注意する必要がある。

 

出典:ゼイタックス

http://www.taxcom.co.jp/snews/top/publish.cgi?news_src=2548&cat_src=tax&enc=utf-8

 

2018年4月15日IKG(~飯島経営グループ)
カテゴリー:税理士法人IKG


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