12月は、グレゴリオ暦で年の第12の月(最後の月)に当たり、31日ある。日本では、旧暦12月を「師走」と呼んできた。
英語での月名、December(ディセンバー)は、「10番目の月」の意味。明治時代に日本が太陰暦から太陽暦に変更した際に、政府が年末の給料を削減するために12月の日数を2日とした(明治5年12月2日の翌日を明治6年1月1日とした)。
https://ja.wikipedia.org/wiki/12%E6%9C%88
☆ 2021年12月の税務
http://tool.yurikago.net/1972/kaikei-hiroba/
【2021年】
年末調整の変更点&令和3年度税制改正のポイント解説
1.税務関係書類における押印義務の改正
税務署長等へ提出する源泉所得税関係書類について、押印義務が廃止されました。
扶養控除等申告書をはじめ、各書類から氏名欄の「印」マークが削除されています。
これは新型コロナウイルスの影響で急速に促進したペーパーレス化・押印省略化の流れにそった変更となります。
小さな変更ですが、記入者の手間が減ったこと、押印漏れで返却せざるを得ないことがなくなりましたので、手続がスムーズになると思います。
2.電子化に対する事前申請の廃止
これまで、年末調整における以下の書類の電子化には「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を予め提出し承認を受ける必要がありました。
- 給与所得者の扶養控除等申告書
- 従たる給与についての扶養控除等申告書
- 給与所得者の配偶者控除等申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書
- 所得金額調整控除申告書
- 退職所得の受給に関する申告書
- 公的年金等の受給者の扶養控除等申告書
それが、令和3年4月1日以降に年末調整書類をデータで受け取る場合、この承認申請書の提出無しに行うことができるようになりました。
データ受取には以下の措置を講じている必要がございますので、ご確認ください。
- データ提供を受けるために必要な措置
例)
- 勤務先へメール送信(電子署名又はパスワード設定が必要)
- USBメモリ等に保存して勤務先へ提供(電子署名又はパスワード設定が必要)
- 勤務先と本人のみアクセスできる領域にデータを保存
- 社内LANでメール送信
- データにより提供する者の氏名を明らかにするために必要な措置
例)
- 本人が申告書情報に電子署名し、その電子証明書と共に勤務先へ送信
- 勤務先から通知されたID・パスワードを使用し勤務先へ送信
- 従業員がデータ提供を適正に行うことができるための措置
- 従業員がデータ提供を行う際に、勤務先がその者を特定することができるための措置
- 提供された記載事項について、電子計算機の映像面への表示および書面への出力をするための必要な措置
3.住宅ローン控除特例の見直し
特別特例取得(後述)に該当する住宅を取得した場合の住宅ローン控除特例について、床面積や所得の要件を見直し、控除期間が延長されるものとなります。
これは、新型コロナウイルスの影響で、新築や増築などを行ってもその住宅に住むことができないケースが多々発生するようになったため、そんな人々への救済措置として制定されました。
特別特例取得とは、
- 消費税率が10%の住宅
- 新築の場合:令和2年10月1日~令和3年9月30日
建築後使用されたことがない場合又は既存住宅の取得や増改築の場合:令和2年12月1日~令和3年11月30日の間に契約締結されたもの
3.令和3年1月1日~令和4年12月31日の間に入居したもの
をいいます。
上記に該当する住宅に住んでいる場合、住宅ローン控除を13年受けることができます。
なお、「住宅ローン控除申告書」は前述の通りデータ提供が可能ですが、「住宅ローン控除証明書」は原本の提出が必要です(マイナポータル対応の年調ソフトは証明書の電子化も対応可能)。
4.退職所得課税の見直し
社員が退職金を受け取った場合、退職所得に対して課税されます。
その計算式が見直されました。
これは高額な退職金に対して、税負担の平準化を図るための措置となります。
<現行>
退職所得金額=(退職金額-退職所得控除額)×1/2
<改正後>
A.(退職金額-退職所得控除額)≦300万円の場合
退職所得金額=(退職金額-退職所得控除額)
B.(退職金額-退職所得控除額)>300万円の場合
退職所得金額=150万円(※1)+{退職金額-(300万円+退職所得控除額)}(※2)
※1 300万円以下の部分の退職所得金額 ※2 300万円超の部分の退職所得金額
即ち、
- 勤続年数が5年以下の従業員であって
- (退職金額-退職所得控除額)>300万円の場合に、300万円を超えた部分
について、改正後の計算式にて算出します。
勤続年数5年超の従業員の退職金や、5年未満でも300万円以下の場合は、従前の計算式を用いることとなります。
また、この計算は令和4年分以降の所得税に適用されます。
2021年の年末調整には関係しませんが、年調後から適用されるため一緒に理解しておきましょう。
5.e-Taxによる申請等の拡充
税務署長等への申請等のうち、e-Taxにより記載事項を入力して送信ができないものについて、スキャナー等で読み取り等したデータの送信をもって行うことができるようになりました。
6.まとめ
新型コロナウイルスの影響でテレワークが増加し、デジタル化が急速に進行した昨今、年末調整もそれに合わせた制度へ変化してきています。
年末調整は複雑な手続きですが、年1回の作業のためやり方を忘れてしまっている人も少なくないと思います。しかし誤った記載や計算をしてしまっては、本来より税を多く徴収されてしまうことが起こりかねません。変更のない部分も復習しつつ、変更点をしっかり理解して正しく年末調整を行うようにしましょう。
https://www.shalf.jp/hr-get/2021/11/4489/
以下、参考
今年から年末調整書類への押印が不要となった点を除くと、今年の年末調整は大きな改正点は見られません。昨年の改正点を含め、年末調整のポイントを確認していきたいと思います。
2021年 年末調整の変更点 押印の不要化
令和3年度税制改正に伴い、今年の年末調整より従業員の方から提出を受ける下記の書類につき、押印が不要となります。
⑴ 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
⑵ 給与所得者の保険料控除申告書
⑶ 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
⑷ 住宅借入金等特別控除証明書(いわゆる「住宅ローン控除証明書」)
昨年の改正点等を中心に…その他の留意点
(1)基礎控除額の引き上げ
基礎控除額はこれまで収入・所得金額に関係なく一律38万円でしたが、平成30年度税制改正に伴い、令和2年からは一律48万円に引き上げられました。(住民税については33万円→43万円)
但し、合計所得金額(所得控除前の所得金額)が2,400万円~2,500万円の場合は控除額が逓減し、2,500万円超の場合は控除額がゼロとなります。
合計所得金額 |
控除額 |
2,400万円以下 |
48万円 |
2,400万円超2,450万円以下 |
32万円 |
2,450万円超2,500万円以下 |
16万円 |
2,500万円超 |
0円 |
(2)給与所得控除額の見直し
基礎控除額の引き上げに対応する形で、平成30年度税制改正に伴い、令和2年より給与所得控除額が一律10万円引下げられる事になりました。
基礎控除額の引き上げを相殺する結果となりますが、これは基礎控除額引き上げの狙いが政府の「働き方改革」促進の観点から個人事業者を拡大するためとされています。
また、給与所得控除額は「高額給与所得者に対する控除額が過大である」という税制調査会の見解を受けて、平成25年以降段階的に上限額が引き下げられており、令和元年では給与年収1,000万円が頭打ちラインとなっていましたが、令和2年より頭打ちラインが850万円に引き下げられています。
このため、給与年収が850万円超の方は下記の「所得金額調整控除」の適用を受ける方を除いて、実質的に増税となります。(給与年収850円以下の方は今回の改正に伴う税額への影響はありません。)
(改正前): 給与収入1,000万円(控除上限額=220万円)<平成29年~>
(改正後): 給与収入 850万円(控除上限額=195万円)<令和2年~>
所得金額調整控除(年末調整時に実施)
給与所得控除額の見直しに伴い、給与年収850万円超の場合は税負担が増加しますが、この年収帯の多くが子育て・介護世帯と見られる事に配慮し、一定の要件に該当する場合には給与所得控除額の増額調整が行われます。この場合には改正に伴う税額は改正前と同額になります。
① 要件
給与収入が850万円を超える居住者で下記のいずれかに該当する者
ⅰ 自身が特別障害者
ⅱ 年齢23歳未満の扶養親族を有する者
ⅲ 特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有する者
② 所得金額調整控除額
下記の算式により計算した金額を給与所得の金額から控除する。
(給与収入(1,000万円上限)-850万円)×10%=所得金額調整控除額
(3)「ひとり親控除」の新設及び寡婦(寡夫)控除の見直し
いわゆる「ひとり親」に対する税制上の措置として寡婦(寡夫)控除がありますが、
最近は「未婚のひとり親」も増加している事に対応し、令和2年度税制改正で同制度の抜本的見直しに加えて、あらたに「ひとり親控除」が創設されました。
従前の寡婦(寡夫)控除は、死別、離婚、生死不明の状態が要件となっており、未婚の場合は適用対象外となっていた事から、全てのひとり親家庭に対して公平な税制を実現する観点から、ひとり親控除が設けられました。(なお適用者については男女の性別を問いません。)
① 対象者
現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者で、下記の要件に該当す
る者
(イ)総所得金額等の合計額が48万円以下の同一生計の子を有すること
(ロ)本人の合計所得金額が500万円以下であること
(ハ)住民票に事実婚である旨の記載がされた者がいないこと
② 控除額
ひとり親控除の対象者の所得税、住民税の計算上、総所得金額等から下記の金額を控
除する。
所得税:35万円 住民税30万円
また、「ひとり親控除」の創設に伴い、寡婦(寡夫)控除については下記のとおり見直しが行われました。
(1)寡夫控除は廃止する(「ひとり親控除」に吸収)
(2)寡婦控除については、「ひとり親控除」の適用要件に該当せず、かつ下記の要件を満たす女性に対して適用する
(イ)夫と死別、離婚、夫が生死不明の状態であること(離婚の場合は、扶養親族を有すること)
(ロ)本人の合計所得金額が500万円以下であること
(ハ)住民票に事実婚である旨の記載がされた者がいないこと
なお、寡婦控除額(所得税27万円 住民税26万円)は従前とおりです。
(4)年末調整書式の大幅改訂
配偶者のある給与所得者については、年末調整において「給与所得者の配偶者控除等申告書」を提出する事となっていますが、令和2年から「給与所得者の基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」が新たに加わっています。
これら2種類の新しい申告書については、従前の「給与所得者の配偶者控除等申告書」と一体化し、「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」という新様式となっています。
なお、同申告書は基礎控除額の適用判定にも利用されるため、配偶者のいない給与所得者も提出の必要があります。
従って、今年の年末調整時においては、従業者の方に下記の3種類の書類を提出して頂くことになります。
(1)令和4年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
(2)令和3年分給与所得者の保険料控除申告書
(3)令和3年分給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
https://pca.jp/p-tips/articles/br210901.html
2021年12月3日
カテゴリー:IKGニュース